【解説】DCドラマ「フラッシュ」エロンゲイテッドマン役俳優、過去の女性蔑視ツイート炎上で解雇

米CW局放送のDCドラマ「THE FLASH/フラッシュ」より、エロンゲイテッドマン/ラルフ・ディブニー役のハートレイ・ソーヤーがシーズン6をもって降板させられたことが分かった。原因は、Twitter上の不適切な発言だ。米The Hollywood Reporterが報じた。
ハートレイは「THE FLASH/フラッシュ」出演以前に、自身のTwitterアカウントで差別的な不適切発言を繰り返していた。アカウント自体は削除されたが、スクリーンショットが残されている。
ハートレイの不適切な投稿を控えたスクリーンショットの数は数十件に及び、内容は「今日のオーディションでこっそりおっぱいを見てやった」「もし妻がいたら、今夜ボコボコにするのになぁ(笑)」「若い頃はホームレスの女をさらって胸を切り取るのが好きだった」「女だけにしてほしいこと:『トワイライト』の上映、婦人科、あとポルシェ」「あーあ、女優ってデブすぎ。細い女の子はどこだよ?」「セブンイレブンの外で元カノを襲った(笑)」といった、女性蔑視や暴力を示唆するものだ。一連のツイートの日付は2011年から2014年となっている。
「THE FLASH/フラッシュ」ショウランナーの声明文
この告発を受け、「THE FLASH/フラッシュ」のショウランナーであるエリック・ウォレスは声明と共にハートレイの解雇を発表。問題のツイートの中には人種差別的なものもあり、エリックは「Black Lives Matter」の語も添えた。
My statement regarding Hartley Sawyer and THE FLASH. pic.twitter.com/hni0MxOWZU
— Eric Wallace (@ewrote) June 8, 2020
「今朝、皆さんはハートレイ・ソーヤーが『THE FLASH/フラッシュ』シーズン7に戻らないことを知ったでしょう。彼のソーシャルメディアでのツイートを考慮しますと、私は心を砕かれ、大変遺憾に思っています。これは、我が国における大問題を示唆するものでもあります。今もなお、我が国はハラスメントの横行を ──無意識であれ、どうあれ──赦してしまっています。黒人や褐色の人々を、あまりにも頻繁に、致命的に脅かし、酷く扱っています。だからこそ、今我が国は立ち上がり“もうたくさんだ!”と叫んでいるのです。ストリートで、変革のための行動が取られているのです。
私も、『THE FLASH/フラッシュ』の仕事環境で恒久的な変化をもたらそうと取り組んでいます。そう、これはファミリー向けの番組です。全てのファミリーのためのものです。黒人や褐色の人々も含まれます。このため、私は黒人や褐色のライター、監督、役者やプロデューサーを、ジェンダーを問わずに起用し続け、『THE FLASH/フラッシュ』の物語を伝えていくつもりです。その物語はアメリカ人の語りでもあります。私達を見聞きするほど、きっとシンプルな事実に気付くはずです。私達は、人間なのだと。
どうして、こんなにたくさんのアメリカ人がストリートに出て声をあげているのか、まだお分かりにならないようでしたら、こう考えてみてください。ジョージ・フロイド、アマド・オーブリー、ブレオナ・テイラー、その他数多くの事件のように、黒人や褐色の方がハラスメントに遭う度、傷つけられ、殺されてしまう度、我が国全土が壊れているのです。世界に主張する道徳的権限から、どんどん遠ざかっているのです。殺人は民主主義ではありません。組織的・制度的な白人特権は平等公平ではありません。表現の自由を暴力で差し押さえることは、自由権利ではありません。自分を自由たらしめる唯一の在り方は、私達全員に自由をもたらすことなのです。
#BlackLivesMatter」
この投稿は、主人公フラッシュ/バリー・アレン役のグラント・ガスティンにもシェアされた。グラントは「エリックの文が雄弁でパワフルなので、僕から付け加えることはありません。言えるのは、あのツイートを見た時に、ショックを受け、悲しくなって、そして怒りが湧いたということです。言葉って大切」とコメントしている。
ハートレイ・ソーヤーの謝罪文
ハートレイ本人も5月31日、自身のInstagram上で謝罪文を掲載していた。「言い訳をするつもりはありません」として、次のように綴っている。
「言葉の重要さ、事の重大さに考えが及んでいませんでした。想像するしか出来ませんが、支えてくれるファンの皆様、共演仲間、クルー、同僚や友人に、辛い思いをさせ、ご迷惑をおかけしてしまいました。全員にお詫びをしなくてはなりません。皆様一人一人にもお詫びしなくてはなりません。責任を与えていただき、ありがとうございます。
私の言葉は、ユーモアのつもりだったということではなく、人を傷つけてしまうもので、許されないものでした。あの当時、注目を集めたくて、あのような恐ろしいことを繰り返していたことを、情けなく思います。心から後悔しています。到底許される行為ではありません。当時、自分の言葉で誰かを傷つけてしまうことを考えもせず、また気付きもせずに投稿してしまいました。今では、もうしません。
本当に申し訳ございませんでした。過去の自分の無知を、情けなく、残念に思います。これ(過去のツイート)は、今の私の考えや、今の私を表すものではないということを、はっきりと言わせてください。
数年前、友人や良き経験のおかげで、私は目が覚めました。自分の発言、行動、それを越えて、より責任ある大人になろうと意識するようになりました。ほとんどプライベートなものとして意識していましたが、また沢山の人々を失望させてしまいました。まだまだ、やるべきことがあります。
しかし、今の自分をいくら改めたところで、(過去の)言葉が与えてしまった影響や責任を取り除くことはできません。本当に申し訳ございませんでした。」
不適切発言による失脚 相次ぐ
ハートレイは2017年米放送のシーズン4第4話より「THE FLASH/フラッシュ」に出演していた。ハートレイ演じるラルフ・ディブニーはお調子者の役どころで、ゴム人間のように身体を自在に変形させられるエロンゲイテッドマンとして活躍。シーズン5ではレギュラーキャラクターに昇格していた。
不適切な発言が原因となる失脚劇は多い。2018年5月には、「ロザンヌ」主演女優のロザンヌ・バーが人種差別的なツイートによってドラマごと打ち切りとなった。2018年7月には、マーベル映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのジェームズ・ガン監督も、ハートレイのように就任以前の過去のツイートが問題となり、一時解雇の騒動を起こしている。俳優のケヴィン・ハートも過去に差別的なツイートを行っていたことから、2019年アカデミー賞授賞式の司会の座から降板していた。Twitterではないが、人気ドラマ「glee/グリー」レイチェル役のリア・ミシェルも、過去の人種差別的な振る舞いを共演者から告発され、広告起用されていた企業からの契約を打ち切られている。
Source:The Hollywood Reporter