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リブート版『ヘルボーイ』から『デッドプール』悪役俳優が早くも降板 ― キャラクターの「白人化」問題で

リブート版『ヘルボーイ』から、元海兵のベンジャミン・デイミオ役を演じる予定だったエド・スクラインが早くも降板した。スクラインが出演するという情報は2017年8月22日に報じられたばかりだった。

今回、スクラインが約1週間で映画を降板することになった大きな理由は、昨今のハリウッドで頻繁に取り沙汰される“ホワイトウォッシング”の問題だ。発表直後から、祖母が日本人であるという設定のキャラクターを白人俳優であるスクラインが演じることには多くの批判があったのである。スクラインがダイミオ役を演じることをSNSで報告したところ、そうした声は本人にも寄せられることとなった。

俳優エド・スクラインによる降板コメント

エド・スクラインは『デッドプール』(2016)で悪役のフランシス・フリーマン/エイジャックスを演じてコミックファンへの知名度を高めた人物だ。彼は降板を決めた理由を、SNSを通じて率直に表明している。

Ed Skreinさん(@edskrein)がシェアした投稿

「先週、来るリブート版『ヘルボーイ』で私がベンジャミン・デイミオ役を演じることが発表されました。私は原作コミックで(デイミオが)アジア系との混血であることを知らずに引き受けたのです。発表以来、激しい議論と理解できる怒りの声がありました。そこで私は、自分が正しいと思うことをしなければならないと思ったのです。

明らかなことは、このキャラクターを文化的に適切なかたちで表現することが人々にとって有意義だということです。この責任を無視すると、芸術における民族的マイノリティの物語や声を覆い隠してしまうという厄介な風潮を続けることになってしまいます。私はそうしたものを尊び、敬意を払うことが大切だと感じています。そこで私は降板を決めました。この役にはふさわしい人物をキャスティングできます。

民族的な多様性を表現することは大切なこと、とりわけ混血の家族を持つ私にとってはそうなのです。私たちの責任は、この厳しい時代に倫理的な判断を行うこと、みながひとつになるための声を与えることにあります。いつかこうした議論が必要でなくなっていくこと、芸術の世界でも平等な表現を実現できることが私の望みです。

『ヘルボーイ』を去ることは悲しいですが、もしこの決断によって理想へ近づくならば、その価値はあると思います。私は変化を望んでいます。

愛と希望をこめて。」

なおリブート版『ヘルボーイ』の製作を務めるライオンズゲート社は、スクラインの「無欲な決断を支援する」として、デイミオ役には原作の設定により忠実な俳優を再キャスティングすることを発表した。撮影は2017年10月よりスタートする予定だが、今回の降板によって影響が生じることはないとのことだ。

近年のハリウッドでは、たとえば『ドクター・ストレンジ』(2016)のエンシェント・ワン役にティルダ・スウィントンがキャスティングされたことや、『ゴースト・イン・ザ・シェル』(2017)にスカーレット・ヨハンソンが配されたことなど、登場人物の白人化=ホワイトウォッシングの問題が大きな物議を呼んでいる。Netflixにて配信された『Death Note / デスノート』に至っては、設定をまるごとアメリカに置き換えたにもかかわらずホワイトウォッシングだという批判が起こったほどである。

映画『ヘルボーイ』の公開時期は不明。デイミオ役の新キャスト含め、今後の動向にも注目していきたい。

Sources:?http://variety.com/2017/film/news/ed-skrein-exits-hellboy-whitewashing-1202540677/
http://deadline.com/2017/08/hellboy-rise-of-the-blood-queen-ed-skrein-ben-daimio-mike-mignola-whitewashing-backlash-asian-american-hollywood-1202155153/
Eyecatch Image:?Ed Skrein speaking at the 2015 San Diego Comic Con International, for “Deadpool”, at the San Diego Convention Center in San Diego, California. / Gage Skidmore ( https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/19134549234/ )

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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