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まさに地獄、『ヘレディタリー/継承』幻の3時間バージョンがあった ─ 監督「長い映画が好きなんです」

へレディタリー/継承
© 2018 Hereditary Film Productions, LLC

2018年、世界中のホラーファンを恐怖のどん底に突き落とし、日本でも大きな支持を得たホラー映画『ヘレディタリー/継承』。「現代ホラー映画の頂点」とも称される絶賛を浴びた本作は、全編にわたってイヤな空気が流れ続け、「どうしてこんなことに…」と思わず目を覆いたくなる展開が見どころの、まさに“地獄めぐり映画”である。

しかし脚本・監督のアリ・アスターによれば、『ヘレディタリー/継承』には、世に出ていない“3時間バージョン”が存在するという。上映時間127分の劇場公開版より、なんと約1時間も長い……。

アリ・アスター監督「長い映画が好き」

『ヘレディタリー』でその名を世界に知らしめたアスター監督は、最新作『ミッドサマー(原題:Midsommar)』が2019年7月3日に米国公開を迎えたばかり。米Inverseのインタビューで、アスター監督は『ミッドサマー』の編集作業について語っている。

「『ミッドサマー』のフルバージョン、最初にすべての素材を繋いだものは4時間くらいありました。だからたくさんカットしたわけです。『ヘレディタリー』の時もたくさん削除しなきゃいけなかったんです。3時間くらいあったんですよ。」

へレディタリー/継承
© 2018 Hereditary Film Productions, LLC

アスター監督が発表した2本の映画は、決して上映時間が短い作品ではない。『ヘレディタリー』が127分、『ミッドサマー』は147分だ。「長い映画が好き」だと語る監督は、上映時間が長いからこそ得られる体験があることを力説した。

作り上げられた世界に浸ることのできる映画が大好きなんです。好きなフィルムメーカーが長い映画を発表すると聞くとワクワクしますね。彼が、彼女が作ったものの中に、それだけ長い時間入り込めるってことですから。」

すでに監督は、『ミッドサマー』に約20分の映像を追加したディレクターズカット版を発表することを検討しているという。「それでも、すべてが入るわけではないんですけど」。それもそのはず、20分足したところで上映時間は3時間足らず。撮影素材をすべて繋いだ当初のバージョンからは、実に1時間以上が削除されている計算になるのだ。

では、いずれ『ヘレディタリー』の3時間版がファンの前に現れる可能性もあるのだろうか。ところがアスター監督は、きっぱりとこれを否定している。「みなさんが見たがるようなものではないと思います」という言葉からは、幻の長尺版が、あくまで編集段階の一形態にすぎなかったことが察せられる。細部まで編集された劇場公開版こそ、監督も納得するベストな形であることに間違いはなさそうだ。

映画『ヘレディタリー/継承』ブルーレイ&DVDは発売中。『ミッドサマー(原題:Midsommar)』はファントム・フィルム配給で日本公開予定。

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Source: Inverse

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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