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「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」の性的シーン、批判を浴びた「ゲースロ」と差別化 ─ インティマシー・コーディネーターが全面サポート

ハウス・オブ・ザ・ドラゴン(原題:House of the Dragon)
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「ゲーム・オブ・スローンズ」(2011-2019)の約200年前を舞台に、ターガリエン家の内乱‟双竜の舞踏”を描くスピンオフ「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」。「ゲースロ」同様、過激な性的シーンが登場するが、その撮影方法は本家と一線を画しているようだ。同シリーズでインティマシー・コーディネーターを務めるミリアム・ルシアが、米Deadlineのインタビューで撮影の裏側を語っている。

インティマシー・コーディネーターとは、映画やドラマの撮影現場で、俳優に配慮しながら性的シーンの振り付けを指導する役割のこと。HBOは2018年に性的シーンを扱うすべての番組でインティマシー・コーディネーターの起用を決定し、「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」では他のHBO作品でも経験豊富なルシアが採用された。

ルシアはインタビューで「『ゲーム・オブ・スローンズ』にはネガティブな評判があり、制作陣も認知しています。報道や#MeToo運動があり、エミリア・クラークや他の俳優たちがいかに困難で過剰な時があったか、いかに大きなプレッシャーを感じたかを明かしていました」と、「ゲースロ」の性描写に対する批判に言及。その上で「『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』では、制作チームがこの件に配慮しているだけでなく、キャストたちも強く意識し何を承諾するか慎重になっています。先例がありましたからね」と語り、性的シーンに対する作り手やキャストの意識の違いを強調した。

ルシアは同フランチャイズにおいて性的な内容やヌードは「番組の一部であり、その本質の一部」だと認め、こうしたシーンを安全に撮影するため、あらゆるプロセスに関与したという。「我々は新時代にいます。私は最初からリハーサル、ディスカッション、読み合わせに参加するよう招待されていたので、誰もが私のことを知っていました。すべてがオープンだったんです」。

撮影現場でのルシアの貢献については、「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」キャストも絶賛。撮影当時18歳だったアリセント役のエミリー・キャリーはセックスシーンを演じるのが「怖かった」というが、ルシアが「大きな助けになってくれた」おかげで「思っていたより、ずっと簡単なことだった」と振り返っている。また、ルシアはキャリーだけでなく、相手役のパディ・コンシダインをサポートすることも忘れていない。「パディと全体を通して話し、彼が大丈夫かどうかも確認しました。彼にはエミリーと同年代の子供がいますからね」。

ちなみに、「ゲースロ」のエダード・スターク役でお馴染みショーン・ビーンは、インティマシー・コーディネーターに批判的。ラブシーンでの「自発性を損ねる」と発言し、非難を浴びていた。これに対してルシアは、「彼はそれなりの年齢で、この業界に長くいて、向こう側の経験がないのだと思います。もしくは、インティマシー・コーディネーターと仕事をして、嫌な思いをしたのかもしれません。私に言えるのは、今までの経験から、これがクリエイティブ・プロセスの妨げになるとは思わないということです」と反論している。

「ゲースロ」と「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」それぞれのキャストの体験談を聞くだけでも、本作で大きな進歩を遂げていることが分かる。ビーンのようにインティマシー・コーディネーターへの懐疑的な意見はあるが、その重要性が高いことは間違いないだろう。少なくとも「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」では、「ゲースロ」のように役者が辛い経験を打ち明けたり、過剰な性的シーンが批判の的になることはなさそうだ。

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Source:Deadline,Deadline
,Insider

Writer

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KyokoKyoko Okajima

アメリカ留学、大手動画配信サービスの社員を経て、ライターに転身。海外ドラマが大好きで、永遠のNo.1は『ブレイキング・バッド』と『ベター・コール・ソウル』。

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