『ハリー・ポッター』ダニエル・ラドクリフが「選ばれし者」になったキャスティング秘話

『ハリー・ポッター』シリーズ主演のダニエル・ラドクリフがシリーズ第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001)に出演した頃は12歳。まだあどけない頃からスクリーンで活躍しながら、最終作『死の秘宝』2部作を迎える頃には、すっかり大人の顔になった。その後は『スイス・アーミー・マン』(2016)など尖った作品にも出演し、個性派俳優としての道も歩みつつある。
そんなダニエル・ラドクリフが運命のハリー・ポッター役に決まった背景には、まさに“選ばれし者”らしいエピソードがあった。
偶然が選んだ?ダニエル・ラドクリフのハリー・ポッター役
米IMDbで伝えられているのはこんな具合だ。
当初ハリー・ポッター役には5,000人もの少年がオーディションされていたが、なかなかしっくり来る候補に出会えず難航していた。そんな中でプロデューサーとクリス・コロンバス監督は、TVシリーズ「デビッド・コパーフィールド」に出演していたラドクリフを大変気に入り、キャスティング・ディレクターに相談。しかし、ラドクリフの両親は我が子に演技ではなく勉学に集中させたがっているため、オファーは難しいとのことだった。ハリー役のオーディションは続いたが、コロンバスはラドクリフに心を決めてしまっていて、キャスティング・ディレクターは内心ストレスだったとか。
ところがある時、プロデューサーと脚本家が劇場を訪れた時、偶然前列の席にラドクリフとその父が。そこで話をつけられたことがきっかけで、ラドクリフに役が決まった、というものである。
ここに、キャスティング・ディレクターのジャネット・ヒルシェンソンが米Huffpostのインタビューで話した内容も重ねると、もう少し細かい背景が見えてくる。
まず、一度ラドクリフへのオファーが通らなかった理由は、ヒルシェントンによれば、そもそもラドクリフが演技への関心を失ってしまっていたからだという。劇場でラドクリフ親子に偶然出会ったというのは本当のようで、何でもラドクリフの父親は元エージェントであり、プロデューサーのデヴィッド・ヘイマンとは知り合いの仲だったそう。そこで2人にオーディションに来るよう持ちかけた、ということだ。
ラドクリフ本人も英Metroにて詳しく回顧している。もともと『ハリー・ポッター』出演の話がラドクリフの親の元に届いた当初は、全6作分ほどをすべてロサンゼルスで撮影するという予定だった。それでは子どもの人生に負担が大きすぎるということで断られるのだが、それから3〜4ヶ月後、全2作分をイングランドで撮影するという内容に変更されていた。それなら大丈夫だと、両親からオーディション参加の許可が降りたという流れだ。
ダニエル・ラドクリフに決定の理由
ラドクリフのほか、ハリー役には有力な候補が2人残っていた。コロンバス監督はラドクリフを推していたが、他の子たちも気になるという声もスタッフの間にあったため、「一旦寝かせて、また考えよう」と熟考していたそうだ。
結局の決め手は、彼らがラドクリフに「勇敢さ」を見出したから。「他の子たちも素晴らしくて、脆くて、とてもハリーっぽい見た目でした。でもそれ以外に、ハリーはとても力強い子にもなるわけですよね。ダニエルはその両面を持っていたんです。とても脆いところもありつつ……、他の子たちは、ダニエルのような勇敢さがなかった」とヒルシェンソン。
ここでヒルシェンソンは、ハリー役のほか、ハーマイオニー・グレンジャー役エマ・ワトソン、ロン・ウィーズリー役ルパート・グリントの興味深いオーディション秘話も明かしている。
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