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『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』エピローグ、監督が明かす配役秘話 ― マルフォイ役トム・フェルトンのこぼれ話も

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1
© Warner Bros. 写真:ゼータ イメージ

『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001)以来、世界中のファンに愛されてきた『ハリー・ポッター』シリーズの映画版は、初の2部作の後編にあたる『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』(2011)で幕を閉じた。原作者J・K・ローリングが描いてきた長い物語は、ついに堂々の結末を迎えたのである。

この記事には、映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』のネタバレが含まれています。

ハリー・ポッター
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エピローグ「19年後」配役のこだわり

『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』は、ヴォルデモートとの戦いから19年後のグランドクロス駅にて締めくくられる。ハリーはジニー・ウィーズリーと結婚し、ロンとハーマイオニーは結ばれ、ドラコ・マルフォイはアステリア・グリーングラスなる女性と結婚し、それぞれ子どもをもうけているのだ。この物語は、2016年から英国・米国で上演されている『ハリー・ポッター』シリーズの続編舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』へと直結していく。

このシーンで38歳の登場人物たちに扮しているのは、もちろん、これまでの作品でそれぞれの役柄を演じてきた俳優たちだ。ハリー役のダニエル・ラドクリフ、ロン役のルパート・グリント、ハーマイオニー役のエマ・ワトソン、マルフォイ役のトム・フェルトン、ジニー役のボニー・ライトが、設定のぶんだけ歳を重ねたメイクを施して登場している。

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(2007)からシリーズのメガホンを取ってきたデヴィッド・イェーツ監督は、この「19年後」のシーンをオリジナルの俳優たちに演じてもらうことにこだわったという。インタビューでデヴィッド監督はこのように述べているのだ。

「登場人物たちの全盛期があって、それから38歳の姿を見せることになります。とても美しい形で(物語が)一周しますから、彼ら(オリジナルの出演者)でなければならないんですよ。7作や8作の映画を作ってから、ラストシーンでキャスティングを変えるのを想像して…僕たち全員、“いやいや、それはない”って思いましたから。」

この決定は至極当然のことのようにも思われるが、同時に勇気のいる判断でもあっただろう。映画版『ハリー・ポッター』シリーズには、『賢者の石』当時はまだ幼かった出演者たちの成長を捉えていく、ある種のドキュメンタリー的性質があった。19年という時間が突如経過するエピローグで、彼らがいかにもフィクショナルなメイクをもって38歳の人物を演じることは、そうした性質とは相反する部分があるのだ。

実際にファンの中には、本人たちが19年後を演じることを好意的に捉えなかった者もいたという。それでも監督がオリジナルの出演者にこだわったのは、ハリーやロン、ハーマイオニーをはじめとしたキャラクターをほかに担える俳優はいないという判断だったのではないだろうか。

ちなみに余談だが、このシーンでマルフォイの妻アステリアを演じているのは、撮影当時、マルフォイ役トム・フェルトンの恋人であったジェイド・ゴードンである。『ハリー・ポッターと謎のプリンス』(2009)や本作でスタントに携わっていた人物で、ほかにも数々の映画でスタントを担当しているほか、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)ではエリザベス・オルセンのアシスタントを務めた。残念ながらトムとジェイドはのちに破局しているが、その後もジェイドはトムのアシスタントを頻繁に担当している。ともに仕事仲間としてキャリアを着実に重ねているということだろう。

映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』Blu-ray&DVDは発売中。「ハリー・ポッター」魔法ワールドの最新作となる、映画『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』は2018年11月23日(金・祝)全国ロードショー

『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/fantasticbeasts/

Sources: Digital Spy, CB

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。