『ヒックとドラゴン』ジェラルド・バトラー「僕はより良い役者になれた、今ならわかることがある」【インタビュー】

実写映画版『ヒックとドラゴン』が公開中だ。2010年に公開され、今なおファンから絶大な支持を集める大人気アニメーション映画を初の実写化。アニメ版の魅力を、物語から構図に至るまで忠実に実写再現。脅威のドラゴンライド・アドベンチャーとして日本の劇場に羽ばたいた。
THE RIVERでは、この作品で主人公ヒックの父親ストイック役を演じたジェラルド・バトラーにインタビュー。バトラーはアニメ版でもストイック役の声優を務めた。時を超え、今度は実写でこの逞しい父親像を演じたことについて尋ねている。
バトラーが身振り手振りを交えて楽しく語ったインタビュー映像は、THE RIVER公式YouTubeチャンネルでも公開中。
『ヒックとドラゴン』ストイック役ジェラルド・バトラー インタビュー
──この実写版を鑑賞する前日の夜、アニメ版を観直してから挑みました。だから、ストーリーの展開を全てわかっていたのに、完全に夢中になれましたし、全く同じシーンで再び涙しました。こうした反応こそ、あなたたちが狙ってたことだったのではと思います。オリジナルのアニメ版のファンに向けて、どのようなメッセージや感覚を届けたかったのですか?
そんなふうに言ってもらえるのは嬉しい!というのも、それこそ僕が言ってきたことだからです。アニメ版に対する見方や、実写化がどうだという意見はさておき、この実写版を観ている間、誰もアニメ版のことは考えないからです。なぜなら、本作はすごく楽しくて、没入感があって、芸術的だから。だから、新しい体験なんです。
君みたいに、前日に(アニメ版を)観ていたという人からそんな感想を聞くことは滅多にない。それだけでわかりますよ。前日に復習して、それでもそんな感想を持ってくれるのなら、僕たちとしても、これ以上望むことはありませんよ。
だけど本作は、アニメ版を観た人に懐かしさを届けつつ、新しいファンに新しい世界を紹介して、活気よくストーリーを語り直し、新たなメディアに昇華させることを目指しています。キャラクターはより地に足着いた、より感情的で深みのあるものにしたい。それに、ドラゴンも現実。まるでこの世界に引き込まれるようです。アニメ版よりも臨場感たっぷりです。

──演技の面では、アニメ版で忠実でありつつ、実写ならではの解釈を取り入れるバランスをどのように取りましたか?
まるで脚本から飛び出したような感覚です。以前のアニメ版のことは忘れようと頑張りました。もちろん、多くは自分の中にあると理解はしています。でも、あの衣装を着て、変身したような気分になり、セットに足を踏み入れ、本物のセットに対峙すると、そこから始まる感じがありました。だって、ヒックやアスティ、ゲップをそれぞれの解釈で演じる役者たちと実際に共演しているわけですから。
おかげで、ストイックという人物のより大きな面や、より小さくて、静かで、親密で、挑戦的な面をもっと演じたり発見したりすることができました。彼の中にある静かな面と、矛盾や痛みに満ちた面もね。

──あの大きな衣装を身にまとった自分自身を、鏡やモニターで初めて見たときはどんな気分でしたか?
とても力強さを感じました。あの装着には数時間かかるんですが、髪も髭も眉毛もヘルメットもつけて、衣装を着て最後に立ち上がって、セットに入る頃には、身体が二倍の大きさになっていて、他のバイキングたちがチビに感じる(笑)。
すごくパワーを感じましたね。自然そのものに力になったような。そういう感覚を求めていたんです。まさに変身という感覚でした。その感覚を最大限に活用して、「これはかなり象徴的で、記憶に残る姿になるぞ」と思いました。こんな役を演じられる人になれたことに、ちょっと幸運を感じましたね。
──ひとつのキャラクターで声優をやり、さらに実写でも演じるというのはなかなか珍しいことだと思います。最初に声優を務めてから、今作での演技にかけてどのような変化を感じますか?この数年間におけるあなたの人生経験が、演技にどのように影響しましたか?
いい質問ですね!まず、正直に言うなら、僕は以前よりも良い役者になれたと思います。より賢くなった。以前だったら、一つの色合いや態度しかできなかったけど、今ならわかることがあって、もっとさまざまなアイデアを込められるようになった。
それに、あの巨体と力強さこそが、逆に人間味や血に足着いた演技や、父親や男としての小さな瞬間を演じられた。 むしろ、彼に弱いところや、鎧のひび割れ、そして彼が崩れるところがあったことで、ストイックをより自由に演じられたと思います。派手に見せることはできるわけですが、彼の中に抑え込んでいるものこそが、物語や観客にとって力強いものなのだと思います。

『ヒックとドラゴン』は大ヒット上映中。