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【動画】『ビール・ストリートの恋人たち』作家ジェイムズ・ボールドウィンの物語を伝える意義 ─ 監督、『ムーンライト』当時の差別体験を明かす

ビール・ストリートの恋人たち
(c)2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved

アカデミー賞®作品賞受賞、『ムーンライト』(2016)のバリー・ジェンキンス監督による最新作『ビール・ストリートの恋人たち』が2019年2月22日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国の映画館で公開される。

この映画の原作となったのは、1950年代にデビューし、現在もなお人々に影響を与え続けている黒人作家ジェイムズ・ボールドウィンの同名小説(早川書房刊)。アメリカ文学に金字塔を打ち立て、キング牧師らと共に公民権運動の旗手としても活躍したボールドウィンには、これまでマドンナやオバマ前大統領、ジェイ・Zら多くの著名人がリスペクトを公言してきた。

このたび、『ビール・ストリートの恋人たち』の映画化を熱烈に希望したバリー・ジェンキンス監督やレジーナ・キングらが、原作者ジェイムズ・ボールドウィンへの思いを語った特別映像が公開されている。

本作『ビール・ストリートの恋人たち』は、作品の映像化に大変に厳しいことで知られるジェイムズ・ボールドウィン・エステートが監督の手腕と熱意を受け、初めて英語圏でボールドウィン作品の映像化を認めたもの。ジェンキンス監督が原作者の意思を受け継ぎ、いかなる困難な状況でも愛を諦めない恋人たちのラブストーリーを、極上の映像美と音楽による独自の世界観で映像化。人種や社会階層にもとづく差別の問題が浮上する現代に必要なメッセージを描きながら、愛と希望に満ち溢れた普遍的な恋人たちの物語を紡ぎ出した。

バリー・ジェンキンス監督は、「2009年に初めて原作を読んだ時、ティッシュとファニーの純愛に心をつかまれました。彼が残したものはとても貴重だ。この本をそのまま世に出したいと思いました」と原作への愛を語る。その一方、作中で描かれる人種差別については「45年ほど前の問題なのに現在も続いているもの。ティッシュとファニーの愛が脅かされる、それが当時の黒人の状況だったんです」とも述べた。

主人公ティッシュと恋人ファニーを演じたキキ・レイン&ステファン・ジェームス、ティッシュの母親役でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされているレジーナ・キングは、ボールドウィン作品の映画化に携われることに「恐れ多い」と口をそろえる。「だって、彼は国の宝ですから」。監督は今回の映画化にあたって、「全員がボールドウィンへの愛を共有しました」と話した。特別映像はボールドウィン自身の肉声、そして主人公ティッシュとファニーの愛を誓い合う言葉で締めくくられている。

ジェンキンス監督の前作『ムーンライト』(2016)が、黒人だけの監督・脚本・キャストによる史上初の作品賞受賞に輝いてから2年。先日発表された第91回アカデミー賞の作品賞候補には、本作のほか『ブラックパンサー』や『ブラック・クランズマン』、『グリーンブック』など黒人を主人公とする作品が多数ノミネートされている。しかしジェンキンス監督は、『ムーンライト』の賞レース当時に味わった衝撃のエピソードを明かしていた。

「(映画賞のパーティーで)会場のホテルから別のパーティーに移動しようとドライバーの車を待っていました。そしたら、ホテルの駐車係がショックを受けた顔で立っていたんです。“どうしたの?”と聞くと、“あの車には乗らない方がいい”と言われて。理由を聞いたら、僕のドライバーがさっき(自分がいない時に)“ここでニガーを待ってるんだ。監督賞にノミネートされるかもしれないんだけど”と言っていたって。“でもニガーであることには変わりない”とでも言いたげに。
その時、僕は5,000ドルのスーツを着ていて、ガバナー・アワードに出席し、世間の注目もすごく高かった。そんな自分でもこんなことが起きるなら、工場勤めの人にはどんなことが起きているんでしょう? これが現実なんです。自分にも起きるなら、誰にでも起こりうる。だからこのストーリーを伝えなければならないんです。」

映画『ビール・ストリートの恋人たち』は2019年2月22日(金)全国ロードショー

『ビール・ストリートの恋人たち』公式サイト:http://longride.jp/bealestreet/

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THE RIVER編集部THE RIVER

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