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黒澤明『生きる』イギリスでリメイク、脚本はカズオ・イシグロ

日本の巨匠監督・黒澤明の代表作『生きる』(1952)が、イギリス映画『Living(原題)』としてリメイクされることがわかった。脚本は『日の名残り』『わたしを離さないで』などで知られる作家・脚本家のカズオ・イシグロが手がける。米Varietyなどが報じている。

『生きる』は平凡で無為な毎日を送っていた市役所職員・渡辺勘治が、胃がんのために余命わずかであることを知らされたことから、自分の人生を反省し、“生きる”ことを考え直す物語。オリジナルの脚本は黒澤明のほか、橋本忍・小國英雄が執筆した。

イギリス版となる『Living』は、舞台を1952年ごろのロンドンに移し、主人公は第二次世界大戦後の官僚制度の“歯車”として働く元軍人の公務員という設定。デスクワークが続く日常生活の中、自身の病を知った男は、死ぬまでに単調な生活の意味を見出そうとする。そんな中、とある若い同僚が主人公にきっかけを与え、関心を抱くようになる……。

主人公を演じるのは『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズや『名探偵ピカチュウ』(2019)のビル・ナイ。そのほか、「セックス・エデュケーション」(2019-)のエイミー・ルー・ウッドも出演。監督は南アフリカを拠点に活動し、前作『Moffie(原題)』がヴェネツィア国際映画祭で上映された俊英オリヴァー・ハーマナスが務める。

脚本を執筆するカズオ・イシグロは、「我々の内面に流れる物語は、自分の人生に意義と充実をもたらす責任を示唆しています。困難にあっても、私たちは自分の人生を誇りに思える、幸福に思える道を探すべきです」とコメント。『生きる』のリメイクにあたっては、「(この作品は)毎日何時間も机や画面に向かっている──コロナ禍の現在、ますますそうなっている──私たちの大勢に、個人の努力が大きな物事にどう繋がるのかが見出しづらい私たちの大勢に届く物語だと信じています」と記した。

製作は英Number9 Filmsが担当し、プロデューサーには『キャロル』(2015)のスティーブン・ウーリー&エリザベス・カールセンが就任。製作には黒澤プロダクションも携わり、クロサワ・コウ氏が製作総指揮を務める。

イギリス版映画『生きる(原題:Living)』は2021年春に撮影予定。

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Source: Variety, Deadline

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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