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黒澤明『羅生門』ハリウッドドラマ化企画が進行中 ─ 現代の殺人事件、複数の視点から紐解く

羅生門
写真:ゼータ イメージ

日本が世界に誇る巨匠・黒澤明監督による、映画史に残る名作『羅生門』(1950)に触発されたハリウッドドラマ化企画が進行中だ。製作はスティーヴン・スピルバーグ率いるAmblin Televisionに加えて、米HBO Maxが参加することが新たに決定。米Deadlineなど複数のメディアが報じている。

映画『羅生門』は、芥川龍之介による短編小説『羅生門』『藪の中』を原作に、一人の武士が殺されて、その妻が暴行された事件の真相を、当事者をはじめとする人々の証言から紐解いていく物語だ。下手人の盗賊や武士の妻たちは自分自身の主観と主張に基づいて事件を語り始めるが、それぞれの証言は対立していく……。

本作は黒澤明監督『羅生門』で描かれた物語の主要要素のみを抽出した、独自の作品として展開。現代を舞台に、残酷な性的暴行と殺人事件が、関わる複数の登場人物の視点から紐解かれていく。各話毎に、中心となる登場人物が代わり物語が展開される中、各自の主観や解釈が語られることになるが……。

本作は黒澤明監督の家族公認の作品。息子・黒澤久雄氏は本作について、「Amblin PartnersとHBO Maxと協力して、今を生きる視聴者に向けて『羅生門』を再構築する事が出来て、大変嬉しく思っています」と喜びを語っている。「この刺激的な物語を通して、私の父が描いた世界が生き続け、新世代に届けられることが楽しみです」

羅生門
写真:ゼータ イメージ

脚本を務めるのは、『キャプテン・フィリップス』(2013)のビリー・レイと『マッドバウンド 哀しき友情』(2017)のヴァージル・ウィリアムズ。製作総指揮には、「ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス」(2018)のダリル・フランク&ジャスティン・ファルヴィーなど就任している。二人は本作について以下のように声明を発表した。

「ニュースやソーシャルメディアにおいて、“発言した内容が真実”となる文化がある現代、真実の概念が更に破綻してきています。黒澤明監督が作り上げた傑作は、単なる殺人事件の謎を紐解く作品ではありません。主観的な視点や信頼性の無い語り口で、ストーリーテリングに革命を起こし、映画界に最も影響を与えた作品と言えるでしょう。映画の公開から70年が経過した現在でも、『羅生門』が残した功績は疑う余地も無く、作品の中心的なテーマは今まで以上に重要な要素となっています。本作では原作を尊重しながら、現代における主観的視点と客観的視点の対立という、古くから存在する概念を紐解きたいと考えています。」

映画『羅生門』ハリウッドドラマ版の製作・配信時期は不明。

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Source: Deadline 

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Minami

THE RIVER編集部。「思わず誰かに話して足を運びたくなるような」「映像を見ているかのように読者が想像できるような」を基準に記事を執筆しています。映画のことばかり考えている“映画人間”です。どうぞ、宜しくお願い致します。

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