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映画『イップマン 継承』の音楽─ 作曲家川井憲次トークショー付き上映会レポート

“宇宙最強”ことドニー・イェン主演の『イップマン 継承』の公開が、2017年4月22日(土)から始まった。これを記念して、シリーズ全作の音楽を手掛ける作曲家・川井憲次と女優・飯星景子によるトークショーが23日に、上映劇場である新宿武蔵野館にて本編上映終了後に行われた。今回は、本作とトークショーの模様を伝えていこう。

家族により焦点を当てた『イップマン 継承』

ドニー・イェンによるイップマン・シリーズも本作で3作目。これまで日本軍や外国人ボクサーらとの死闘を繰り広げたイップ師父は好景気に沸く香港に安住。成長した長男を学業のために故郷である佛山へと帰し、妻・ウィンシン、次男のシンと慎ましく暮らしていた。ある日、イップ・マンはシンが同級生と喧嘩したことでその父親のチョン・ティンチと知り合う。ティンチもイップ・マンと同じく詠春拳の使い手で、息子を指導し互いに「弟子」「師匠」と呼び合っていた。同じころ、シンたちが通う小学校の土地が地上げ屋のフランクによって執拗に狙われ、イップ家族にも危険が迫る。家族を守るためにフランクの元へと向かうイップ・マン。またティンチも「正統派詠春拳」の後継を賭けイップ・マンに対決を迫る——。

© 2016 Starbright Communications Limited All Rights Reserved
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本作の魅力の1つでありシリーズを通しての最大の魅力でもあるのが、やはりドニー・イェンのカンフー・ファイトだろう。しかも本作でその対戦相手となるのが元プロボクサー世界チャンピオンのマイク・タイソンと、『ドラゴン×マッハ!』で現代最高のアクションと名高いカンフーを披露したマックス・チャンというのだから、その名前だけでもシリーズ屈指の配役が実現したことが分かる。本作のアクション指導は前2作のサモ・ハンから『マトリックス』や『グランド・マスター』などのユエン・ウーピンにバトンタッチしたが、そのファイトシーンの迫力と美技は圧巻。2005年に現役を引退したタイソンは現役時代と何ら変わりないフットワークとパンチングを披露し、フランクというキャラクターをもってあのイップ・マンを追い詰めていく。

© 2016 Starbright Communications Limited All Rights Reserved
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またシリーズ初の同門対決となるティンチ戦は、半棍(棒術の一種)、八斬刀、徒手のスタイルで激突。もはや芸術の領域とも言える至高のカンフーバトルが繰り広げられ、スクリーンに釘付けになるはずだ。

© 2016 Starbright Communications Limited All Rights Reserved
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そして、アクションだけではないのがこのシリーズの特色だが、アクション以上にドラマとしても本作ではこれまでにない大きな展開を迎える。中国という国の威信を背負った「序章」、中国武術の誇りを背負った「葉問」。戦争と貧困を経てなお、イップ家族を襲う出来事は、イップ・マンという1人の人間へとよりフォーカスしていく。哀愁感さえ漂わせる気品は、ドニー・イェンしか出せないものかもしれない。子のために命を張り、妻を護るために拳を握るイップ・マンの姿は力強く、そして美しい。シリーズ史上、最も色濃い「ラブストーリー」としての物語はきっと胸に迫るはず。また1度の鑑賞だけでなく、2度3度と鑑賞を重ねるごとにすべてのシーンがより深みを見せていくので、本作はリピート鑑賞もお勧めしたい。

カンフー映画音楽の新たな指標

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23日に開催されたトークショーでは、先日某番組でドニー・イェン愛を語るほど、芸能界屈指の香港映画通である飯星景子がインタビュアーとして川井憲次との対談を展開した。「2年前に本編が完成して以来、今年に入って試写で初めて作品を観た」という川井だが、今回パンフレットをはじめさまざまな媒体でインタビューを受けている。週刊大〇の取材では、発売後に巻末の掲載に気付かず「おっぱい特集をめっくてる時にスタッフに写真撮られちゃって」と、笑いを交えながらのトークショースタートとなった。

Writer

ashimigawa

映画・映画音楽ライター。愛知県出身。
竜巻映画『ツイスター』で映画に覚醒。映画音楽に魅了されてからはサウンドトラックも買いあさり、映画と映画音楽漬けの日々を送る。

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