ペニーワイズ役ビル・スカルスガルド、『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー』語り尽くす ─ 「ピエロらしくふざけてただけです」

『IT/イット』シリーズ初となる実写ドラマ『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー “それ”が見えたら、終わり。』が、U-NEXTにて配信中の第8話『冬の炎』をもってシーズンフィナーレを迎えた。
見どころの一つは、映画シリーズでもペニーワイズを怪演したビル・スカルスガルドの再演。THE RIVERでは、スカルスガルドの単独インタビューをお届けする。
ムスキエティ監督および映画版スタッフと再びタッグを組むことへの想いや、ペニーワイズの”人間の姿”であるボブ・グレイを演じるにあたってのアプローチ、ドラマシリーズならではの表現によって深掘りされた、ペニーワイズというキャラクターの本質についてたっぷり語る内容だ。

『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー “それ”が見えたら、終わり。』 ペニーワイズ役 ビル・スカルスガルド インタビュー
──これまで『ペニーワイズ』という非常に強烈なキャラクターを演じてこられました。映画『IT/イットTHEEND』では数年ぶり、そして今回はさらに時を経て『IT/イットウェルカム・トゥ・デリー』で再びこの役を演じてみて、どんな心境ですか?
映画2作目のときも「またこのキャラクターを演じるのは難しいんじゃないか?」と心配していたんですが、すぐにペニーワイズに戻れたんです。今回のドラマシリーズでもそれは同じでした。このキャラクターのことをよく理解しているので、すべてが自然に帰ってくる。僕にとって彼は、“そういう存在”なんです。一度ペニーワイズの状態になれば、即興で何でもできるし、動きも自然と彼らしくなる。役に入り込むのも、そこから抜け出すのもすごく簡単。役者として、これはとても珍しいことです。こんなにも何度も行ったり来たりできるキャラクターは、今まで経験したことがありません。最初の映画から…もう9年くらい経つのかな?
──ペニーワイズを演じるとき、恐れや不安はありましたか?それとも、逆にワクワクしたり楽しめたりしました?
難しい質問ですね。今回のドラマシリーズに関して言えば、キャラクターに対する不安はまったくありませんでした。ペニーワイズの心理を深掘りする作業は、最初にキャラクターを作り上げた時にすでにやり切っていたので、今回はただそこに戻るだけでした。アンディ・ムスキエティとバルバラ・ムスキエティにまた会えたのもうれしかったです。現場に行って…まあ、“ピエロらしくふざけてただけ”でしたね(笑)。
──『IT/イットウェルカム・トゥ・デリー』では序盤、さまざまな姿の“それ”が描かれますが、ペニーワイズの姿は第5話「ニーボルト通り29番地」まで伏せられていました。迷子の少年マティ(マイルズ・エカート)が友人たちを連れて下水道へ行き、そこでピエロへと変身するシーン。あれがシリーズでの最初の撮影だったのでしょうか?
そう、実はあれが僕のクランクインだったんです。あの…ポールの周りを回る“ポールダンスのシーン”(笑)。あれがペニーワイズとして初登場するシーンで、僕たちが最初に撮ったカットでもありました。カメラが回り始めた瞬間は、楽しかったですね。
──映画版と同じスタッフも多かったのでしょうか?
はい、トロントで特殊メイクを担当していたショーン・サンサムやシェイン・ゼンダーなど、多くのスタッフが戻ってきてくれました。映画の1・2作目が成功して、それぞれの人生でいろいろあって、またみんなと会えたのは感慨深かったですね。2作目を撮り終えてから6〜7年は経っているはずですが、「またペニーワイズに戻ってきた!」という感覚より、周りの状況の方が不思議で。「時間が経ってないのかな?僕はまだ下水道に閉じ込められてるのかな?」というシュールな気分でした。
──アンディ・ムスキエティ監督はペニーワイズの重要シーンを担当しましたが、他の監督が撮るエピソードでも、あなたの演出は彼が行ったのでしょうか?
アンディが担当していないエピソードでも、僕のシーンだけは彼が来て演出してくれました。それが良かったんです。他の監督とやるのは、正直あまり気が進まなかったからね。ペニーワイズは僕とアンディの“子ども”みたいな存在なので、他の誰かとあまり共有したくなかったんですよね。
──アンディは『IT/イットTHEEND』のころからストーリーの続きについて話していたと言っています。あなたは原作に登場する「ボブ・グレイ」という“人間としての姿”に興味を持っていたそうですね。
2作目を撮影していた時に、「もし3作目をやるとしたらどうする?」という話はよくしていました。今回のドラマとは少し違うけど、その時のアイデアの名残はあります。当時、僕は映画の3作目を完全に違うトーンにしたかったんです。「ピエロの仮面の裏にいる男」の前日譚。つまり、ペニーワイズが食べて、その姿を借りている男「ボブ・グレイ」の物語です。映画の2作目でも少しだけそういう要素を試しましたが、今回のドラマシリーズでは全く別の角度から、ボブ・グレイを演じることができました。
──第6話「父を求めて」では、カーシュ夫人が少女を“餌”にして“それ”を呼び寄せ、彼女の父親だと思い込んでいるペニーワイズと対峙します。彼女がすぐに恐れなかったときの、ペニーワイズの“戸惑い”のような一瞬について教えてください。
あの回想シーンはとても楽しかったな。そのリアクションは現場のアドリブで生まれたんです。彼女が誰なのか、そして利用価値があることに気づいたペニーワイズの「ん…?ほぉ〜!」という反応。そして笑い始める。あの瞬間、彼は優しくしようとしていたわけではなく、ただの計算高い化け物が「お、彼女が誰か分かった。利用価値のある相手だ」と判断しただけです。あなたが言っているのは、その“一瞬”のことですよね。























