ペニーワイズ役ビル・スカルスガルド、『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー』語り尽くす ─ 「ピエロらしくふざけてただけです」

──ブラック・スポットが焼失した後、“それ”は再びカーシュ夫人(マデリーン・ストウ)と遭遇します。彼女が病院で“それ”を目にしてから、何十年も経ったあとのことです。カーシュ夫人はペリウィンクルの衣装をまとい、いまだに“それ”を行方不明の父だと思い込んでいます。けれど今回、“それ”はもう彼女の思い込みに乗っかることはしません。
ペニーワイズは、彼女がこれまで役に立ってきたとは思っているものの、もうどうでもよくなっていて。だから、とても残酷な態度で「お前の父親は食べたよ」と真実を突きつけるんだ(笑)。あのシーンは本当に楽しかった。
──第7話のラストで、ペニーワイズは次の27年周期へ向けて眠りにつきますが、“扉”が開いたことで、予定より早く目覚めてしまいました。血の池から現れた彼は、鼻から下が真っ赤に染まっていますね。この半分だけ赤い新しいルックには、何か理由があるのでしょうか?
単純に、アンディは映画版とは違うユニークなビジュアルを作りたがっていました。それがこの赤い姿です。他にも細かい違いがあって、より“古い時代”の雰囲気を出しています。ウィッグも違いますしね。衣装は基本的に同じですが、休眠に入ろうとしたところを無理やり起こされたので、血に浸かって真っ赤になっているわけです。だから、もしハロウィンで“ウェルカム・トゥ・デリー版ペニーワイズ”をやりたいなら、上唇から下を真っ赤に塗ってください(笑)。それで、映画版ではなくドラマ版だとわかりますから。
──“それ”は本来ピエロそのものではなく、実体を持たない変幻自在な存在だということを忘れがちです。なぜ“それ”は、これほどまでにペニーワイズの姿を気に入っているのでしょう?
原作でスティーヴン・キングは「ペニーワイズは“お気に入り”の姿」だと書いています。本当の姿ではないんです。あの蜘蛛の姿も本当の形じゃないと思います。ペニーワイズは彼が一番楽しめる姿なんでしょうね。“最悪のいじめっ子”、それが一番楽しいことなんです。僕は常に、彼の中に動物的な「捕食本能」という要素と、ひどく歪んだ「いたずら好き」な面を同居させたいと思って演じてきました。今回のドラマシリーズでもその要素は見えますよね。そういう二面性は演じていて楽しいものです。

──“それ”は無限で永遠で、ある種、孤独な存在です。人間ではないため、私たちが理解できるような心理を持っているわけではありません。しかし、この奇妙な怪物を突き動かしているのは、「退屈だから、混乱を巻き起こして楽しみたい」という欲求もあるのでしょうか?
それもあるでしょうね。僕は、“それ”はすごく子どもっぽいんだと思います。原作の中で、“それ”の一人称視点が描かれる章がありますが、そこでは食べて寝たいだけの怒っている子どものように描かれています。この作品の核にあるのは、常に“子ども”です。成長や変化がテーマで、ペニーワイズもその点では同じです。彼も“子ども”なんです。彼が子どもを狙うのは、想像力が豊かで怖がらせやすいからですが、同時に彼自身も子どものような性質を持っているんです。想像しうる限り“最悪のいじめっ子”です。それが僕の演技のベースにあります。彼はただ……笑うんです。相手をあざ笑う。本当に、救いようのない最低なやつなんですよ。
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