『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』ワカンダ戦、『スター・ウォーズ/ファントム・メナス』の影響は? VFXスタッフが証言

マーベル・シネマティック・ユニバースの集大成として製作された映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)には、映画史に燦然と輝く『スター・ウォーズ』シリーズの一本、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)との“ある共通点”がたびたび指摘されている。さて、製作陣はその類似をどこまで意識していたのだろうか?

巨大なシールド、宇宙から飛来する軍隊
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の後半において、ヴィジョンの額に埋め込まれたマインド・ストーンをサノスの手から守るため、キャプテン・アメリカらはヴィジョンをワカンダへと移す。高度な科学技術と軍事力を有するワカンダを最後の砦として、地球のヒーローたちはサノス一味への抵抗を目論むのだ。
クライマックスにおけるワカンダでの戦闘は、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』で描かれる「ナブーの戦い」の設定によく似ている。ワカンダの都市を包む巨大なシールドはグンガン族のエネルギー・シールドを、サノス一味の放つ凶暴な獣アウトライダーズは通商連合(トレード・フェデレーション)のバトル・ドロイド軍を思わせるだろう。最前線でワカンダのボーダー族が使ったシールドと、グンガン族の持つ個人用エネルギー・シールドも用途はそっくりだ。
実際、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でVFXスーパーバイザーを務めたダン・デリーウ氏は、米ScreenRantのインタビューにて、『ファントム・メナス』の存在が「頭の片隅にあった」と認めている。しかし「シールドが街を覆っているのは『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013)にも同じアイデアがありましたよね」とも。
「(『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』が)『ファントム・メナス』になぞらえられやすいのは、地上戦が多かったからだと思います。シールドのアイデアはありましたが、(アンソニー&ジョー・)ルッソ兄弟なりの方法になりましたよ。つまり、非常に地に足の着いた、戦争映画的な撮影でしたし、汚しがかかっていて、ある意味ではやや暴力的。ヒーローたちがアウトライダーズに(地面へ)倒されたりね。さらにキャップ(キャプテン・アメリカ)やソーのジョークや、ヴィランの凶暴さのバランスを取って、うまく際立たせるんです。」
すなわち重要なのは設定ではなく、そこで何を描き、どのように演出するのかという点だったのだというわけである。とはいえダン氏は「全員がどこかで『ファントム・メナス』のことを思い出してましたね」とも語っている。おそらく最初は偶然の一致だっただろうが、作り手たちの有する映画への記憶が、無意識的にワカンダでの戦闘をナブーの戦いに引き寄せていったところはあるのかもしれない。
「マーベルが素晴らしいのは、ここには映画オタクがたくさんいるというところ。だから昔の映画を引っ張ってきて、“この映画みたいだ、あの映画っぽい、この映画みたい”って言えるんですよね。」
映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』MovieNEXは2018年9月5日発売。
Source: SR