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【ネタバレ】『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』ストーンの描写、ルッソ監督が解説 ― 広まった誤解を訂正

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の、インフィニティ・ストーンをめぐる“ある描写”が話題を呼んでいる。これはジョー・ルッソ監督の発言がネットメディアやSNSで拡散されたことが発端だったが、このたび監督はシーンの意図を改めて解説。各所で生じている誤解について訂正した。

注意

この記事には、映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のネタバレが含まれています。すでに作品を鑑賞された方向けの内容となりますのでご注意下さい。なお、このページをSNSにてシェア頂く際は、記事内容に触れないようお願い致します。

アベンジャーズ インフィニティ・ウォー
© 2018 MARVEL

ソウル・ストーンが見せた幻が意味するものとは

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のクライマックスで、サノスはヴィジョンの額からマインド・ストーンを取り出し、ついに6つのインフィニティ・ストーンを手中に収める。“全宇宙の生命を半分に減らす”という目的を、彼はついに指を鳴らすことで達成するのだ。
ところが指を鳴らした瞬間、サノスはオレンジ色に輝く空間に立っていた。そこでサノスは――ソウルストーンを手に入れる代わりに自ら命を奪った――幼い頃のガモーラに「やり遂げたの?」と尋ねられる。サノスが認めると、愛する娘は「何を犠牲にした?」と問いかけるのだった。「すべてだ。」

このシーンについて、公開直後からファンの間では「あれはソウル・ストーンが見せた幻影ではないか」「サノスがソウルストーンの中に入っていたのではないか」という声が上がっていた(ソウル・ストーンはオレンジ色に輝く石)。またジョー監督は、この描写について「ソウル・ストーンを示唆しています」とイベントで答えていたのである。
しかし、この発言は必ずしも意図した形で伝わらなかった。米io9などでは「ソウル・ストーンを示唆」という言葉が割愛され、該当のシーンは「サノスがソウル・ストーンの中に入った」「そこで幼いガモーラと話をした」場面だとされてしまったのである。これを受けて、ファンは「ソウル・ストーンの中でガモーラは生きている」「消滅したヒーローもそこにいるのでは」などと反応していた。

このたびジョー監督は、米Comicbook.comのインタビューに登場。サノスとガモーラのシーンは「ソウル・ストーンの中」であると認めた上で、「(幼い)ガモーラは魂が現れたもので、ソウル・ストーンにはそれだけの力がある。彼の苦しみや罪悪感を示すシーンであって、それ以上の解釈はしていません」と明言。シーンの内容について解説を加えている。

「指を鳴らした時に発生した力が、サノスを劇的に変化させたんです。[中略]指を鳴らした瞬間、彼はソウル・ストーンの中、この世ならざる次元へ引き込まれていますよね。言うなれば、あれはヒーローとしての旅の一部なんです。最後の瞬間に、彼が自分の行為に罪の意識を抱いていることがわかる。それほど複雑な人物だと示したかったんです。」

また米国のポッドキャスト“Happy Sad Confused”で、監督はより丁寧に言葉を重ねている。

最後にサノスはヒーローとして、自分が唯一気にかかっていたことに再び対峙します。自分自身の行為で支払うことになった感情的なコストを認めざるを得ない。だからあそこでは(ガモーラの)魂が現れているんです。
(指を鳴らせば)すべてのストーンの力が一度に必要になり、サノスが夢の次元へ引き込まれるほど大きな影響をもたらします。彼の腕やガントレットが傷ついていることに気づかれたかと思いますが、それほどすさまじいエネルギーに耐えられたことは強さの表れですね。ただしそれこそが、彼にとって悲劇的な瞬間を作り出していたんです。」

ヒーローたちの“行為”と“代償”

サノスが指を鳴らしたこと、それによって罪の意識に向き合わなければならなくなったことを、ジョー監督は「ヒーローとしての旅の一部」と呼んだ。ピーター・クイル/スター・ロードやソーの行為と比較することで、監督はその真意を解きほぐしている。

「劇中、あるキャラクターが非常に人間らしい選択をすることで、痛ましいことに物語の方向性は変わってしまいます。(ピーター・)クイルは惑星タイタンでサノスを殴ってしまうし、ソーはサノスの(頭ではなく)胸に斧を突き立てる。なぜなら彼は“捕まえたぞ、これが復讐だ”と伝えたかったわけですから。そうしていなければ、もしも彼がとどめを刺していれば、あんなことにはならなかったんでしょうけど。」

二人のヒーローとサノスは、それぞれに苦しみを受け、それぞれに行動を起こし、それゆえに大きな代償を支払っている。「ヒーローとして」あるいは「人間として」選んだ行動が、彼ら自身の首を絞めるような結果に繋がっているのだ。一部で賛否が分かれたヒーローたちの行為について、ジョー監督はこう述べた

「登場人物が受けた大きな苦しみによって彼らの決断は生じるもので、そこは観客のみなさんにもきっと共感してもらえると思っています。だって、彼ら(登場人物)は物語の中で成長してきたんですから。何かを選んだ本人の視点から、あらゆる決断について理解することを物語は教えてくれますよね。」

これまで折にふれて、アンソニー&ジョー・ルッソ監督や脚本家たちは“見方によってはサノスもヒーローである”と強調している。彼は大勢のヒーローと同じように苦しみ、決断し、そして代償を引き受けているのだ……。さて、このことは来たる『アベンジャーズ/エンドゲーム(邦題未定、原題:Avengers: Endgame)』にどう繋がるのだろう?

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は2018年4月27日より全国の映画館にて公開中

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』公式サイト:http://cpn.disney.co.jp/avengers-iw/

Sources: HSC, ComicBook.com(1, 2), io9

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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