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『スター・ウォーズ エピソード1』幼アナキン役、統合失調症からの回復傾向を母が語る ─ 「あの子は今もスター・ウォーズが好きです」

『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』アナキン・スカイウォーカー
©Lucasfilm Ltd Photographer: Keith Hamshere 写真:ゼータイメージ

『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)で幼い頃のダース・ベイダー/アナキン・スカイウォーカー役に抜擢され、世界中から大きな、大きすぎるほどの注目を集めたジェイク・ロイド。1989年生まれ、35歳となったジェイクは『スター・ウォーズ』以降ほとんど俳優活動を行うことなく、俳優業を引退している。

幼くして、誰もが知る大作映画の主役を務めながら、しばしば「あの人は今?」的に思い出されることの多いジェイク。2015年には逮捕騒動を起こしたことが話題になったが、後に統合失調症のため精神病施設に移ったことも明らかになっていた。

現在、ジェイク・ロイドはセラピーや治療を続けており、状況はずっと良くなってきているという。ジェイクの母親であるリサ・ロイドが、米Scripps Newsでクレイトン・サンデル記者に詳しく語っている。

「ジェイクは高校生活で問題を抱えるようになりました」とリサ。ジェイクは高校で、同級生から『スター・ウォーズ』絡みのいじめやからかいを受けてる。「彼はその時、“現実”というものについて語り始めました。自分がこの現実にいるのか、違う現実にいるのか、彼は判別がついていませんでした。私は、どう答えていいのかわかりませんでした」。

当時、宿題は済ませたかとリサが聞くと、ジェイクは「やるべきかどうかわからない。今どっちの現実にいるのかわからない」と答えるのだという。そんな時、リサは「あなたは今日、私の現実にいるの。だから宿題はやりなさい」と諭したのだそうだ。

その後、ジェイクは医師より双極性障害と診断され、さまざまな治療を試したものの、どれも効果がなかったそうだ。

高校を卒業後、芸術系の私立大学に進学したが、授業に出席することができなかった。「人につけられている」と、ジェイクは話していたという。黒い目をした人々に、路上でジロジロ見られていると訴えるようになったり、深夜にテレビのトーク番組を見ながら、司会者と会話するようになったりした。

2007年。 ycanada_news
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Jake_Lloyd_signs_autographs.jpg

1学期半の後、ジェイクは2008年3月に大学を退学した。その時にジェイクは、妄想型統合失調症と診断された。診断を受けた本人はひどく落ち込んだという。

ジェイクには、自身が病を患っているという自覚がないため、投薬や通院の必要はないと考えていたという。やがて薬を完全に飲まなくなり、違法薬物を使用したこともあったと、リサは伝えている。

ジェイクは2015年6月に乗用車でスピード違反運転を行ったのち、パトカーとのカーチェイスを20分近く続け、木に激突して逮捕された。当時は、かつての子役がお騒がせな人物になったと見る向きが大きかったが、ジェイクが内なる闘いを抱えていたことを知るものは少なかっただろう。

ジェイクが統合失調症を患っていたことが世間に伝えられたのは、この事件の直後のことである。この年の3月、ジェイクが実家に現れ、お前が俺の人生をぶち壊したと、リサに怒鳴り始めた。ジェイクが家に入ろうとするのをリサが止めていたところ、彼はリサを倒し、踏みつけて怪我をさせていたというニュース記事が残っている。

無謀運転による事故で、ジェイクは10ヶ月間投獄される。暴力を振るわれたリサは、それでも我が子のために懸命に尽くそうとした。「あの子は病気なんです。薬を飲ませないと良くならないんです」。リサが獄中の我が子に手紙を送り続けると、ずっと拒絶反応を示していた息子からついに電話がかかってきた。ある時は、建物の中に侵入者がやってきて、自分を銃で撃ってきたと、パニック状態で電話をかけてきたこともあったという。

さらに辛い出来事も綴られている。ジェイクには2歳年下の妹マディソンがいた。『ファントム・メナス』にもエキストラ出演していた彼女は、いつもうまくジェイクを励ましていたという。

そんなマディソンが、2018年に突然死した。26歳、睡眠中の自然死だったという。ジェイクは、妹の死を受け止めることができず、受け止める術もわからなかった。マディソンがいなくなってすごく寂しいと、時々ジェイクは発した。「それくらいしか、私たちに会話はありませんでした」。

マディソンの死後である2020年、リサは次のような声明を発表している

「皆様の温かいお言葉、ご支援、ご好意に感謝申し上げます。ジェイクは妄想型統合失調症との診断を受けていますが、残念なことに、自身の病気に対する洞察力が欠如する“病態失認”という症状も患っています。

妹のマディソンを失うという悲劇に見舞われた彼にとって、このことが苦しみに拍車をかけています。彼は、家族の近くに引っ越したので、私たちはみんな、彼を助けるために懸命に務めています。

彼は今でも優しく、思いやりのある人です。できるだけ早く、楽しくて愉快な彼に戻って欲しいです。皆様の愛とご支援と共に、ジェイクはこれからも前進を続けるでしょう。」

Scripps Newsでは、2023年の3月の出来事が伝えられている。母がジェイクをマクドナルドから車で連れ帰る時のことだ。その日はすでに、ジェイクにとって辛い一日だったという。

ジェイクは三車線道路のど真ん中で、突然車を止めたいと言い出した。そして実際に車を停車させ、あたりは大騒動となった。当然、交通渋滞を巻き起こし、警察の通報を受けて警官がやってきた。警官からいくつかの質問を受けたジェイクが答えるのだが、全てが支離滅裂だったという。

その日のうちにジェイクは病院に連れられて入院するようになり、数ヶ月後にはリハビリ施設に移ったそうだ。現在、ジェイクは「思っていたよりずっと良くなってきている」と、リサは話している。「人との関わり方が少しうまくなってきていて、より社交的になってきています。良いことです。昔のジェイクに戻ってきたみたい。統合失調症になるまでは、あの子は信じられないくらい社交的な子だったんです」。

幼い頃に『スター・ウォーズ』という大作映画に出演し、世界中の熱狂ファンたちの元に晒されたことで、ジェイクは心の平和を失ったと言われることもある。しかしリサは、この見方を否定している。彼の実父の家系に統合失調症の病歴があるので、「遺伝的なものだと思います」とリサ。「いずれ患っていたでしょう」「彼の精神科医も、ジェイクはいずれ統合失調症になるはずだったろうと認めているんです」。

またリサは、ジェイクが俳優を引退したのは『スター・ウォーズ』のせいではなく、離婚を経験した家庭の問題に起因することだと訴えている。家庭内が落ち着かず、荒れたような時期、「ジェイクはもうオーディションを受けるのが楽しくなさそうだった」と、リサは振り返っている。

実際に、ジェイクは今も『スター・ウォーズ』の大ファンなのだそうだ。ディズニープラスで配信された新しいドラマ「アソーカ」も鑑賞しており、母は主人公アソーカ・タノのアクションフィギュアを、ジェイクの誕生日にプレゼントしたという。「あの子は、新しいスター・ウォーズを全て好いていますよ」。「アソーカ」は、ジェイクが演じたアナキン・スカイウォーカーの青年期(ヘイデン・クリステンセン)が再登場したことで話題になったシリーズだ。

ジェイクは今も『スター・ウォーズ』のTシャツを好んで着て、人前に出ることもあるそうだ。「今はより良い状況になってきていて、私たちが楽しみにしていることもたくさんあります。みんなジェイクを愛しているし、彼の側にいたい。彼には幸せになって欲しいんです」と、リサは前向きに語っている。

▼ スター・ウォーズの記事

Source:Scripps News,TMZ,GNN

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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