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なぜ『ジャスティス・リーグ』は往年のテーマ曲を復活させたのか ─ 「スター・ウォーズ見習うべき」作曲家語る

「こんなDC映画が観たかったんだよ!」──国内でファンに向けた試写会を終えると、既に日本のDCファンからも熱烈なレビューが寄せられている映画『ジャスティス・リーグ』。これまでのDC映画が言われがちであった「重苦しい」イメージは『ワンダーウーマン』(2017)に引き続き払拭された意欲作となっていることが伺える。

そのイメージ転換に一役買ったのは、途中参加ながら本作の楽曲を手掛けたダニー・エルフマンの仕事によるものも大きい。ダニー・エルフマンと言えば、1992年の『バットマン・リターンズ』で既にDC映画のスコアを手がけている。ハンス・ジマーやジャンキーXLが手がけたDC映画シリーズ前作『マン・オブ・スティール』(2013)『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)などの重厚かつ荘厳なイメージとは少々趣を変え、『ジャスティス・リーグ』のスコアは快活的なサウンドだ。

注意

この記事には、人によって『ジャスティス・リーグ』のネタバレと捉えうるが含まれています。

ダニー・エルフマンは、ジョン・ウィリアムズによるお馴染みの「スーパーマンのテーマ」を『ジャスティス・リーグ』に蘇らせたことを、「多分ね」「少しだけね」とボカす形で認めている。また、『ジャスティス・リーグ』にわずかに流れる「バットマンのテーマ」については、「バットマンのテーマはひとつだけ」と笑い、以下のようにも語った。

「ハンス・ジマーもリズム感ある素晴らしい曲を手がけていたけど、バットマンのテーマは後にも先にもひとつだけです。それは、『バットマンのテーマ』。」

今回はこれらの発言について、深掘りしてみることにしよう。The Hollywood Reporterのインタビューに応じたダニー・エルフマンは、『ジャスティス・リーグ』楽曲制作の思惑について、更に詳しく語ってくれている。

テーマ曲は引き継ぐべき

「(オリジナル曲に)“ひねり”を加えました。私の手がけたバットマンのテーマにこそ、(バットマンの)DNAが息づいています。でも、本作には必ずしもマッチしないことも分かっていました。クライマックスの戦いの、とある瞬間を覗いてはね。ジョス・ウェドンは“ここでサクッと(バットマンのテーマを)入れましょう。ファンはこういうのが好きなんですよ”と仰っていました。」

ダニー・エルフマンの発言を紐解けば、「ヒーローと共にテーマ曲あり」とも言うべき理念が見えてくる。今や過去の人気映画がリブートされ、新たなシリーズが走らされることも珍しくなくなってしまったが、ダニー・エルフマンはテーマ曲だけは代々引き継ぐべきであるとの考えを語っている。

スーパーヒーロー映画のシリーズが新しい監督でリブートされる度に、音楽もゼロから作り直さなくてはいけないなんて、ひどい話だと思います。そんなの、監督か作曲家のエゴですよ。これまでスター・ウォーズやジェームズ・ボンドが培ってきた叡智を見習うべきでしょう。音楽が生きて繋がっていると、映画をご覧になられるお客様はとても安心できますよね。」

更なる実例として、自身が1996年のトム・クルーズ主演作『ミッション・インポッシブル』の楽曲を手掛けた際も、オリジナル版TVドラマ『スパイ大作戦』(1966-1973)のテーマ曲を起用したことを語りながら、持論を展開する。

「(オリジナルのテーマ曲を)外してしまうなんて馬鹿げていますよ。10年前の曲だろうと、70年前の曲だろうと関係ありません。どんな古い映画のリブートであろうと、私にお任せいただければ往年の楽曲を新鮮な形で使って見せます。

ダニー・エルフマンに言わせれば、マーベルの「スパイダーマンのテーマなんて、4種類も作ってしまった結果、コレだという曲がないでしょう」という。一方でDC作品の映像化の歴史を振り返ってみれば、誰もが一度は耳にしたはずの「スーパーマンのテーマ」は、アクション映画テーマ曲の代表曲として今なお愛されている。これを使わないわけにはいかなかった。

「私はDCの皆さんにお話したんです。あなた方は素晴らしい楽曲の数々を遺産としてお持ちなのですから、誇るべきですよ、活かしてあげるべきですよ、とね。皆さん、快くご納得頂きました。」

同時に、近年のDC映画シリーズが新たに掴んだ「名曲」、ハンス・ジマーのアレンジによる「ワンダーウーマンのテーマ」にもひねりを加えたことを明かした。

「ワンダーウーマンのテーマは二度使いました。一度目は彼女の初登場シーン。とてもヒロイックな瞬間ですが、ヘヴィなエレキギターやエフェクトは”飢えた”印象で合わなかった。メロディはとても素晴らしいので、シーンに合うように地に足の着いた手法を探りたいと思いました。」

『ジャスティス・リーグ』では、シーンに合わせてお馴染みのメロディを変化させるダニー・エルフマンの職人技も、ぜひご堪能いただきたい。

映画『ジャスティス・リーグ』は2017年11月23日公開。

Source:https://www.hollywoodreporter.com/heat-vision/justice-league-danny-elfman-hates-reboots-scrap-classic-themes-1059632
https://www.youtube.com/watch?time_continue=164&v=prR2JTFlXm8

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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