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映画『ジャスティス・リーグ』は、いかにして「結集」と「最初の一歩」に集中したか

ジャスティス・リーグ
©2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC AND RATPAC ENTERTAINMENT, LLC

友だちができて就職先も決まったフラッシュ

ドラマ『THE FLASH/フラッシュ』でも活躍が目覚ましいスピードスターのヒーロー、フラッシュ/バリー・アレンは映画ではオタクで調子に乗りやすいが挙動不審になってしまうことが多い、未熟なキャラクターとして描かれています。

ドラマのバリー・アレンが見せる明るさは三代目フラッシュのウォリー・ウェストの要素が多く引き継がれていますが、映画のバリー・アレンはオタクで学生っぽさがあり、新人であることを加味しても落ち着きがないという描写から少年スピードスターヒーローのインパルス&4代目フラッシュであるバート・アレンの要素が強く見られるようになっています。映画のフラッシュはコミックやドラマと同じで父を冤罪で投獄されているだけでなく、対人関係を築くのが苦手て進路も決まっていないという不透明さがあります。

バリーは友達が欲しいということでバットマンのスカウトを二つ返事で了承しましたが、ヒーローとしてはまだデビューというデビューもしていない状態であり、右も左も分からない有様でした。そんな彼がブルースから人助けのアドバイスをされて、同じ視点で話せる友人がいないという悩みも駆けっこ相手ができたことで解決し、おまけに進路も決まりました。

孤独に苛まれていたアクアマンは友達と居場所ができる

アクアマン/アーサー・カリーは予告編では『バットマン ブレイブ&ボールド』に出てくるような陽気で愉快な人物に思われましたが、劇中の描写ではコミックの落ち着きのある佇まいと『バットマン ブレイブ&ボールド』の陽気さが合わさったキャラクターとなっています。

アクアマンと言えば”魚と話せる”ことに関連したジョークのネタになるという不遇な立場であり、市民からも馬鹿にされがちですが、劇中でジョークにしたのはバットマンのみでした。そのバットマン/ブルース・ウェインがスカウトしに行った際には周囲の人々に庇われる姿が見られており、翻訳されたコミックよりも後の時系列にあるような認められた状態であることが伺えます。

しかし、地上人とアトランティス人のハーフであるアクアマンが強烈な疎外感を抱いているのは同じであり、コミックでは長年連れ添う恋人のメラとの関係性も薄いことから孤独感で投げやりになっていました。そんなアクアマンが真実の縄に触れたことでようやく友人を作ることができた心情を吐露するシーンは胸が暖かくなります。

怪物になる恐怖を抱えたサイボーグは人間性を自覚

サイボーグ/ヴィクター・ストーンといえば、初登場は『New Teen Titans』であり、長年に渡ってティーンタイタンズのまとめ役を担ってきたメカヒーローです。コミックも映画も大怪我を負ってしまったところを実の父親に改造されたことで、人ではない体となってしまった悩みと、無断で人体改造をした父親に対して確執のあるキャラクターです。コミックでのサイボーグは無骨ですが思いやりに溢れており、フレッシュで思春期であることから悩みの多いティーンヒーロー達の心を癒やす光景が多く見られます。サイボーグはその心と振る舞いからチームメイトに”(名前は石=ストーンだが)彼は巨岩のような男だ”と賞賛される名ヒーローです。

そんなサイボーグは映画では改造されてまだ日が浅く、マザーボックスという未知のアイテムで改造されたことから、人でなくなった悲しみと父への怒りだけでなく、未知の物質によって自分が知らないものに作り変えられていく恐怖を抱えています。

正体不明のアイテムによって体だけでなく、心も変わっていくのではないかという恐怖は三代目ブルービートル/ハイメ・レイエスで描かれていたものです。三代目ブルービートルの方は両親や妹が一般人であることから、常に変化していく体に対して妹からは恐怖や怯えの目を向けられることもありました。それでも変身アイテムであるスカラベ(識別コード:Khaji Da)は初代ブルービートルと二代目ブルービートルの戦いを間近で見たことからヒーローに感化されており、意思疎通が可能な限りは安心でした。

けれど、サイボーグの方はと言うと体を作り変えたマザーボックスそのものが未知のアイテムであることから多くの謎を秘めており、明日には怪物になってしまっているかもしれないというヴィクターの恐怖が真に迫っていました。機械になった体に悩んでいたサイボーグでしたが、スーパーマンと協力して世界を救ったことでようやく、青年らしい笑顔を浮かべ、本来の人間らしい心を素直に表現できるようになり、ヒーローとしての希望を持って進むことができました。ファンサービスとしては、サイボーグが映画の中で着ていたスウェットのパーカー上下は彼がコミックで初登場した時に着ていた上下のパーカーの色違いとなっています。

Writer

小村健人村上 幸

DCコミックスと非ヒーローコミックスをメインに読んでいます。ユーロコミックスを原語で読むのが現状の目標です。好きなヒーローチーム:ジャスティス・リーグ・インターナショナル好きなヒーロー:たくさんのDCヒーロー(特にキース・ギッフェンがライターを担当した時のヒーローかヴィラン) salarmko@outlook.jpお仕事の依頼はこちらへ。

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