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クリストファー・ノーラン、『ダークナイト』3部作は「贅沢な時間だった」

ダンケルク
©2017 Warner Bros. All Rights Reserved.

『メメント』(2000)、『インセプション』(2006)、『インターステラー』(2014)、そして『ダンケルク』(2017)。自身の作家性を物語と映像の両面へと丹念に織り込み、世界中の映画ファンを魅了してやまない映画監督クリストファー・ノーランにとって大きな転機となったのは、DCコミックスのヒーローであるバットマンの映画化に挑んだ『ダークナイト』3部作だ。

2017年12月1日(英時間)、ロンドンにて開催されたイベント“BAFTA: A Life In Pictures”に登場したノーランは、その当時を「贅沢な時間だった」と振り返っている。米Deadlineが伝えた。

スケジュールに縛られすぎないヒーロー映画

『ダークナイト』3部作の皮切りとなったのは、2005年『バットマン・ビギンズ』だ。クリスチャン・ベール扮するブルース・ウェイン/バットマンのデビュー作は、モーガン・フリーマンやゲイリー・オールドマン、マイケル・ケイン、悪役にリーアム・ニーソンという充実のキャスティングで圧巻のストーリーテリングを見せつけた。
つづく『ダークナイト』(2008)は、未だに“『ダークナイト』3部作”と形容されることにも象徴される傑作だ。ヒース・レジャーが演じたジョーカーは語るまでもないほどの魅力をもって観客に迫ったのである。そして完結編『ダークナイト・ライジング』(2012)は、トム・ハーディやジョセフ・ゴードン=レヴィット、アン・ハサウェイという新キャストを迎え、ノーラン流バットマンの物語を鮮やかに締めくくっている。

こうして3部作を振り返って気付かされるのは、ヒーロー映画3部作としては意外なほどに、作品ごとの間隔が開いていることだ。

「(『ダークナイト』3部作では)もはや映画監督には与えられない特権と贅沢さがありました。スタジオに対して“もう1本やるかもしれません。でも4年後ですね”って言えた、最後の時代だったと思いますよ。公開日が決まっていて仕事をするのはものすごいプレッシャーなんです。ただし創造の面では大きな強みがありました。(映画を)人間として、またストーリーテラーとして製作する権利と利点があったんです。自分の製作チームを呼び戻せますしね。」

現在のハリウッドにおいて、ヒーロー映画は“メインストリーム”としての存在感を確立しており、ヒット作には即座に続編の計画が浮上する。いまや続編の製作までに4年を要するケースは珍しいが、『ダークナイト』当時はやや状況が異なったようだ。そもそもブームの大きな火付け役となったマーベル・シネマティック・ユニバース、その幕開けとなった『アイアンマン』は『ダークナイト』と同じく2008年に公開された作品だったのである。「ユニバース」という言葉じたい、現在の用法ではほとんど使われていなかっただろう。

ノーランは現在、DCコミックス/ワーナー・ブラザースが主導するDC映画ユニバースのうち、『マン・オブ・スティール』(2013)、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)、『ジャスティス・リーグ』(2017)の製作総指揮を務めている。自身でスケジュールをコントロールできない状況下で、彼が再びヒーロー映画を撮る可能性はあるのだろうか……。

ちなみにノーランはこのイベントで、映画製作者であり実業家、パイロットのハワード・ヒューズを題材とした企画への熱意を明かしている。一度はジム・キャリー主演で本格始動したものの、マーティン・スコセッシ監督作品『アビエイター』(2004)の影響で断念せざるを得なかったようだ。

クリストファー・ノーランの最新作『ダンケルク』のブルーレイ&DVDは2017年12月20日発売。

Source: http://deadline.com/2017/12/christopher-nolan-discusses-the-dark-knight-trilogy-and-howard-hughes-film-at-bafta-1202218583/
©2017 Warner Bros. All Rights Reserved.

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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