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スカーレット・ヨハンソンがディズニーを提訴、『ブラック・ウィドウ』同時配信は契約違反 ─ ディズニー側は真っ向から反論

スカーレット・ヨハンソン
Photo by THE RIVER

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品『ブラック・ウィドウ』(2021)が、劇場公開とDisney+ プレミア アクセスの同時展開となったことについて、事前の契約に反するとして、主演・製作のスカーレット・ヨハンソンがウォルト・ディズニー・カンパニーを提訴した。米Wall Street JournalDeadlineが報じている。

報道によると、ヨハンソンは『ブラック・ウィドウ』が劇場公開限定のリリースになるという前提でマーベルとの契約を締結。劇場での興行収入額に基づく報酬を受け取ることになっていた。ディズニー側が同時配信を計画した時点で、ヨハンソン側は契約の再交渉を求めたが、ディズニー/マーベルは応じなかったという。関係者によると、Disney+での同時配信によって、ヨハンソンは推定5,000万ドル以上の損失を被ったという

『ブラック・ウィドウ』は新型コロナウイルス禍の影響を受け、2021年7月9日に世界公開&配信を開始(日本では7月8日より劇場公開)。初週末は米国興収8,000万ドル、海外興収7,800万ドル、Disney+での配信売上6,000万ドルというスタートを記録したが、2週目に劇場興収額が急落。劇場と配信の衝突だけでなく、報道によれば「最も海賊版が出回った映画」とも伝えられている。

ヨハンソン側は、コロナ禍以前から『ブラック・ウィドウ』の劇場公開に強くこだわっており、2019年3月の時点で、マーベル側に本作が劇場のみでのリリースになることを確認。マーベルの主任顧問であるデイヴ・ガルッツィ氏からは「計画が変更される場合には議論を行い、一連の興行収入額に基づいて契約に合意する必要がある」との回答を得ていた。

提訴にあたり、ヨハンソン側は「マーベルによる契約違反を、ディズニーは正当な理由なく意図的に誘発した」と主張。これによって、ヨハンソンは本来の契約で受け取るはずだった利益の総額を把握できなくなったという。一方、ディズニーの幹部陣は配信戦略の展開によって多額の報酬を得ていることから、「経営陣のメッセージは明らかである。Disney+の会員数を増やし、契約上の約束は関知せず、自分たちは報酬を受け取るということだ」と記している。

ヨハンソンの弁護士であるジョン・バーリンスキー氏は、「ディズニーは『ブラック・ウィドウ』のような作品をDisney+に直接投入することで会員数を増やし、企業の株価を上げようとしており、COVID-19をその隠れ蓑としている。しかし、これは近視眼的な戦略でアーティストの権利を侵害し、映画の成功に対するアーティストへの責任を無視するものです」とコメントした。「ハリウッドのタレントがディズニーに抵抗するのは、今回が最後にはならないと考えます。企業側は取り繕うかもしれませんが、法的な契約違反が行われている」

しかしながら、この提訴に対し、ディズニー側は「なんらメリットのない訴訟だ」として反論の声明を発表。「今回の提訴は、世界的なコロナ禍の影響を無情にも無視した、非常に残念かつ悲惨なものです。ディズニーはヨハンソン氏との契約を完全に履行しており、またDisney+でのプレミア アクセス配信は彼女の能力を引き出すもので、(ヨハンソン氏には)現在までに2,000万ドルの追加補償をお支払いしています」。

Source: The Wall Street Journal, Deadline

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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