【唸れCARシステム】『ジョン・ウィック:チャプター2』で殺陣アクションに革命 ─ 最新アップデートを目撃せよ

ブルース・リーが起こしたアクション映画の革命から40有余年。

一対多数の格闘シーンを描く映画は数多く制作されましたが、その殆どの作品が共通するあるジレンマを抱えてきました。そのジレンマとは、「銃の扱いをどうするか」という点です。格闘能力に優れた正義の主人公、対するは非道の悪の組織。暴力を憎み、平和を愛しているのに、なんやかんやで知り合いや恋人が組織にひどい目にあわされて、結局死地に単身乗り込む主人公、襲い来る敵を次から次へと殴り倒し…アクション映画ファンなら誰しもが血沸き肉躍る場面ですが、ふと脳裏にかすめるのはこんな疑問。


「なぜ彼らは銃を使わないんだろう?」

現代アクション映画における銃の扱い

ある映画は、時代設定を拳銃の存在しない過去にして、ある映画は登場人物の漢気のせいにして、確実に始末しなければならない相手を前に、個人レベルの闘争において究極の兵器である「銃」を使わないことを説明します。しかし、ブルース・リーが活躍した1970年代ならばともかく、舞台を現代に、物語を真に迫ったものにしようとすればするほど、「なんでこいつらわざわざ殴り合ってるんだ?」という元も子もないジレンマは大きくなります。

多くの場合、部分的に銃が登場する場面はあっても、主人公の見せ場、対多人数バトルシーンでは、どういうわけか敵側が持っているのはナイフとか手斧とか鉈とかの近接武器ばっかり。案の定多勢の利を活かせない狭所に誘導され、一人ずつやられていくという学習能力の低さ。わざと悪し様に言いましたが、もちろんそういう映画だと判って鑑賞している分には問題ありません。しかし、このジレンマの存在によって「これはそういうジャンルの映画だから」というプロレス鑑賞的見立てが観客側に要求され、その様子が人によっては子供っぽさに映ることもまた事実です。このジャンルを世界的に確立し、「状況に適応し、進化すること」が信条であったブルース・リーが存命であったなら、そのような見られ方を良しとはしなかったかもしれません。

『ジョン・ウィック』の革新性

2003年、このジレンマと正面から向き合った一本の映画が公開されました。カート・ウィマー監督『リベリオン』です。この映画は格闘アクション映画の醍醐味と、銃という武器の合理性を両立させようとした稀有な作品でした。リベリオンに登場した「ガンカタ」と呼ばれる体術は、発展途上ながら格闘アクション映画の未来を垣間見せていましたが、いかんせん尖ったことをし過ぎたせいか公開当時の興行収益は振るわず、格闘アクション映画に第二の革命を起こすには至りませんでした。

そして月日は流れ2014年。ついに『リベリオン』の正統進化とも言うべき映画が登場します。それが『ジョン・ウィック』第一作です。敵も味方も銃をメイン武器として使うという条件のもと、ブルース・リーから連綿と続く一対多数の格闘戦のエッセンスに、『リベリオン』からの文脈を加え、現代における最新のアクション表現を完成させた前作。この映画独自のファイトスタイルの確立に寄与したのはSabre Tactical Training Resource and Researchという民間の軍事コンサルティング会社が開発した「CAR」(センターアクシスリロック)システム。以下の動画をご覧いただければお分かりの通り、両肘を曲げた状態で両手で包み込むように銃を持ち、常に体に近いところで照準する独自のスタイルは、接近戦における精密連射を可能にするそうです。

当時、映画における格闘表現はあらゆるものが出尽くしてしまったと思い込んでいた筆者は、この『ジョン・ウィック』でシャッポをふっ飛ばされた形となりました。そしていよいよ2017年7月7日公開される待望の第二作『ジョン・ウィック:チャプター2』。予告編を見る限り、前作のスタイルを踏襲しているだけでなく、総合格闘技わけても柔術をよりフィーチャーした体術や、広場における一対多数の銃撃戦など、格闘アクションの更なる進化を伺わせるような内容になっています。日本より5カ月も早く公開された本国での評価や、興行収益、そして三部作であることなどから、おそらくアクション映画の歴史において『ジョン・ウィック以前』『以後』と言い表されるエポックメイキングなシリーズとなることはほぼ間違いなし。

これが2017年最新版のアクション映画です」と鑑賞前から自信を持って断言できる『ジョン・ウィック:チャプター2』、是非劇場でアップデートを目撃してくださいね。

About the author

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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