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【ネタバレ】『ジョン・ウィック:パラベラム』犬に対するキアヌ・リーブスの考察 ─ なぜ名前をつけないのか

ジョン・ウィック:パラベラム
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この記事には、『ジョン・ウィック:パラベラム』のネタバレが含まれています。

ジョン・ウィック:パラベラム

── ジョン・ウィックはデイジーという愛犬を失っていますが、2代目のピットブルには名前をつけませんよね。何故ですか?ジョン・ウィックがどんどん心を閉ざして、冷酷になっている気がして心配なのですが……。

キアヌ・リーブスうん。あの犬は何て名前なのかって聞かれることもありますね。でも彼は「いい子だ」とか「犬」と言うだけで。犬は犬だから、名付けの必要はないんです。

── それって、ジョン・ウィックが人間味を失っている表れのような……。

キアヌ:彼はずっと戦っていて、あの犬はジョンの人間性の象徴なんですよ。あの犬が、彼を(人間として)地に足付けさせている。劇中、ゼロとジョンが話すシーンがありますよね?そこに犬がやってきて、ジョンの顔を舐める。その時のジョンは、ウィンストンを殺さなくてはいけない状態でしょう。だからあのシーンのジョンは、愛情の余地などない、ただの殺し屋なんです。そこに犬が来て、顔を舐めるんですよ。ジョンは嫌そうにしているけど、犬は「人間でいて!自分を失わないで!」って訴えているんですよ。

そしてゼロが「俺とあんたは同類だ」と言うでしょ。「同じじゃない」、「同じさ」、「違うね」と問答する。そしてジョンが立ち上がると、ゼロが「俺たちは同じ殺しの達人」と言う。それを犬(=ジョン・ウィックの人間性)は座って聞いて、待っているんですよ。ゼロも待っている。

そこから、(人としての)ジョンと(殺し屋としての)ジョン・ウィックが移動する。彼は、ジョンになるのか、それともジョン・ウィックになるのか。まさにウィンストンのセリフですよ。「誰として死にたいのか」です。そして彼が選んだのは、ジョンです。だからウィンストンを殺さなかった。ウィンストンと共に戦うんだと。ウィンストンがジョンの闘志に火をつけてね。

ある時点から、ジョンの一部は死んでしまい、ジョン・ウィックと化していたのかもしれませんね。

ジョン・ウィック:パラベラム
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物静かな印象のあったキアヌだが、この犬に関する質問には身を乗り出して、熱心に、そして一気に語った。演じた本人であるので当然であるが、劇中のセリフをそっくりそのまま再現しながら、該当のシーンがいかに意味深いかを我々に教えてくれた。この解説を最後まで話しきった後、キアヌは「すみません、つい長々と喋っちゃいました」と慎ましく結んだのだった。

映画『ジョン・ウィック:パラベラム』は大ヒット公開中。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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