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『ジョーカー』大ヒット発進へ、世界興収1.5億ドル超え狙う ─ 米映画館は警戒態勢、制服警官・覆面警官を配備

ジョーカー
TM & © DC. Joker © 2019 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and BRON Creative USA, Corp. All rights reserved.

狂気の犯罪王子、ジョーカーの誕生をホアキン・フェニックス主演で描く映画『ジョーカー』の世界公開が迫ってきた。ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞(最高賞)を受賞する高評価を受けながら、過激な内容から米国では早くも社会現象と化している本作は、すでに世界規模での大ヒットが見込まれている。米Deadlineによれば、なんと本作の全世界オープニング興行成績は1億5,000万ドルを突破する勢いなのだ。

『ジョーカー』は2019年10月2日に韓国やインドなどで公開を迎え、翌3日には香港、ロシア、イタリアなどで、そして10月4日(金)に日米同時公開となる。10月6日(日)までの世界興収は1億5,500万ドルに達すると予測されており、実現すれば『ヴェノム』(2018)の2億740万ドルに次いで10月公開作品の歴代第2位となる。

凶悪な犯罪者が誕生するまでの物語を、観客を主人公に共感させてしまう筆致で描いた『ジョーカー』には、米国で「現実の暴力を誘発するのではないか」との声が上がっている。『ダークナイト ライジング』(2012)公開時に発生した銃乱射事件の犠牲者遺族がワーナー・ブラザースへの声明を発表したことなどから、メディアでは『ジョーカー』の“危険性”ばかりが連日取り沙汰されており、トッド・フィリップス監督は「映画について十分報道されているとは思いません」との皮肉を述べてすらいるのだ。

しかしながら、「そうした状況にもかかわらず」か、あるいは「そうした状況ゆえ」なのか、『ジョーカー』の米国内での注目度は非常に高い。10月3日のプレビュー上映から6日(日)までの米国興収は8,000万ドルを突破するとみられており、『ヴェノム』の8,025万ドルを抜き、10月公開作品の国内オープニング興収記録を更新する可能性も十分なのだ。

ジョーカー
(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics

米国のチケット販売サービスAtom Ticketsでは、すでに『ジョーカー』の前売りセールスは『ヴェノム』や『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』(2019年11月1日公開)、『アス』(2019)、『ミスター・ガラス』(2019)を抜き、R指定作品としては『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019年10月4日)に次いで今年第2位となった。最大手チケット販売サイトFandangoでも、前売成績は非常に好調な推移を続けているという。

マーティン・スコセッシ監督作品に大きな影響を受けた本作は、いわゆる“コミック映画”のイメージを逸脱する作品となり、主演のホアキン・フェニックスにもアカデミー賞を期待される絶賛が集まっている。今後、口コミなどがさらに広がり、コミック映画に関心を持たない層からも大きな注目を集めることができれば、現在予想されている以上の成果も期待できるだろう。

なお、作り手たちの意志とは異なるところで社会問題として取り上げられている本作の劇場公開にあたっては、米国の映画館にて警戒態勢が敷かれる見込み。Deadlineによると、ニューヨークの映画館では、万一の事態に備えて、制服を着用した警察官と覆面警察官が各映画館に配備されるという。これまでロサンゼルス市警や米軍が明らかにしてきたのと同様、ニューヨーク市警は、現時点で具体的な脅迫などを確認しているわけではないとのこと。今後も人々の安全を第一に観察を続けていき、必要とあれば人員を随時追加配備していく方針だという。ただし、『ジョーカー』の警戒態勢は決して珍しいものではない。ニューヨークにおいて、同程度の警備を必要とするイベントは毎日実施されているという。

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なお『ジョーカー』は世界各国でも公開を迎えるが、海外では米国ほど犯罪の発生が懸念されていないのが実情だ。ヴェネツィア国際映画祭での金獅子賞受賞、さらに圧倒的な口コミ効果を受けて、ヨーロッパでの予約数は非常に優れた成績に達しているという。10月6日までの海外興収は7,500万ドルが見込まれており、米国興収と合算すれば1億5,500万ドルになるわけだ。ただし、本作は世界各国でR指定や大人向けの指定を受けており、Deadlineは「中国での公開は難しい」とみている。世界興収が『ヴェノム』の成績に届かないと予想される背景には、『ヴェノム』が大ヒットした中国での公開が厳しいという現状もあるのだ。ちなみに同誌は「『ジョーカー』は日本でヒットすると予想される」とも記した。

映画『ジョーカー』は2019年10月4日(金)日米同日、全国ロードショー。コミック映画史上空前の問題作、ぜひ目撃して!

Sources: Deadline(1, 2, 3

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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