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『ダークナイト』ジョーカーの鉛筆マジックシーン、撮影裏のトリックが明らかに

『ダークナイト』ジョーカー
© Warner Bros. 写真:ゼータイメージ

鉛筆一本で躊躇なく人を殺められる人物といえば、ジョン・ウィックさんか『ダークナイト』ジョーカーくらいである。

故ヒース・レジャーが怪演したジョーカーは、映画『ダークナイト』(2008)で鉛筆を使った殺人術を見せている。マフィアの会合に不気味に登場したジョーカーは、突然「マジックはどうだ」と取り出した鉛筆を卓上に突き立てるのだ。「この鉛筆を消してみせよう。」次の瞬間、詰め寄ってきたマフィアの下っ端の首根っこを掴み、鉛筆めがけて叩きつける。「ダダーン!見事に消えたぞ」、消えた鉛筆は、哀れなマフィアの頭部に突き刺さっていた。

でも、このシーンの撮影はどうやって?ジョーカーが鉛筆を突き刺して、マフィアの頭部を叩きつけた瞬間に、鉛筆は本当に消えていた。もちろん実際に役者の頭に突き刺すことはありえないけれど、それではあの鉛筆はCGだったのだろうか?

そんなことを考えても「Why so serious?」の一言で済まされそうだけれど、米Vultureが『ダークナイト』制作スタッフに行った新たなインタビューでは、この素朴な疑問をぶつけている。

『ダークナイト』鉛筆マジックシーンの裏側

実際のシーンは素早すぎてよく確認できなかったが、同作スタント・コーディネーターのリチャード・ライアンによれば、鉛筆はマフィアの眼球に突き刺さるという設定だそう。プロダクション・デザイナーのネイサン・クロウリーによれば、製作陣も「どうやって撮ろうか」とミーティングを重ねていたようで、クリストファー・ノーラン監督さえCGを使うと想定していたそうだ。「CGで鉛筆を作って、消えたように見せるなら特段難しいことではない」と視覚効果スーパーバイザーのニック・デイヴィス。「でも、我々はIMAXで撮影したので、巨大なキャンバスで観ることになるでしょう。IMAX画質でデジタルに作り直すことは出来ないので、不要な視覚効果はできるだけ使わないようにしていたんです。

続けて撮影監督のウォーリー・フィスターが”種明かし”したところによると、「鉛筆にトリックはないですよ」とのこと。「彼の頭がテーブルに叩きつけられたときには、鉛筆は刺さっていなかったわけです。だからどこにも消えたわけではありませんね。頭をテーブルに打ち付けた時点でもう何もなかったのですから。」

つまり、まさに視覚の「マジック」だったわけである。「最終的に、あのシーンは二編撮影しています。鉛筆あり版と、鉛筆なし版。そこからは編集のマジックですよ」と語るクロウリーは、ノーラン監督とはマジシャンを描いた映画『プレステージ』(2006)で共演済みだ。「『プレステージ』でマジックの仕掛けや、カメラのトリックを1年ほど学んでいましたので。」

実際にこのシーンでマフィアの下っ端を演じたスタントマンのチャールス・ジャーマンが回顧するところによれば、半分のスピードでのリハーサルを繰り返した後、2日かけて22テイクも撮影したのだという。つまり、22度も頭をテーブルに叩きつけられたわけだ。さぞ痛かったろうが、撮影用のテーブルには表面に0.5センチ厚の加工したゴムが貼られていたのだそう。

ところがチャールスは「普通のテーブルの方が良かった」と漏らす。何でも、初めの1テイクを普通のテーブルで試したところ、叩きつけた衝撃で木製のテーブルがしなってくれるので、ずいぶん楽だったという。ゴム版のテーブルの方が、かえって「レンガの壁にタオルを張って、そこに激突するような感じだった」のだとか。

おそらく多くの映画ファンが何度も繰り返し観ているであろう『ダークナイト』、次回鑑賞時は多くの工夫と苦労が詰まった鉛筆マジックシーンに改めて注目してほしい。

Source:Vulture

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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