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『ジョーカー』米映画館に警察の出動相次ぐ ─ 脅迫で上映中止、不審者出現で観客が自主避難

ジョーカー

「現実の暴力を誘発する可能性があるのではないか」。上映前から米国で内容の過激さなどが注目を集め、『ダークナイト ライジング』(2012)公開時の銃乱射事件の犠牲者遺族が公開書簡を発表するまでにもなった映画『ジョーカー』が、2019年10月4日(金)に日本・米国など世界各国で公開された。米国では『ヴェノム』(2018)を抜いて10月公開作品のオープニング興収記録を更新、世界では早くも2億3,400万ドルというロケットスタートを記録する大ヒットとなっている。

しかし『ジョーカー』の公開にあたっては、危険性についての話題が早くから取り沙汰されたこともあり、警察や米軍が警戒態勢を敷き、映画館では手荷物検査などが実施されることにもなった。それでも初めての週末は――ある意味ではこうした騒ぎが起こったゆえの事態ともいえるのかもしれないが――警察が映画館に出動するに至ったケースが複数確認されている。

プレビュー上映に脅迫事件、上映中止に

Los Angeles Timesによれば、『ジョーカー』の正式公開前日、プレビュー上映が行われた2019年10月3日(木・現地時間)に、カリフォルニア州オレンジ郡ハンティントンビーチのショッピングモール「ベラ・テラ」にある映画館「Century Huntington Beach and XD」に脅迫が行われ、同日午後5時ごろに警察が現場へ到着。午後4時45分以降の上映はすべて中止となった。

これによって、『ジョーカー』のプレビュー上映は、この日の最後の2回が実施見合わせとなり、安全のため営業は終了となった。脅迫の具体的な内容、および映画館に脅迫が届けられた方法については明かされていない。ただし、現地紙The Orange County Registerによると、脅迫はこの映画館と『ジョーカー』に特定したものだったという。

警察による捜査の結果、公開初日である10月4日(金)朝からは映画館の通常営業が再開されており、『ジョーカー』も予定通りすべての回が上映されたとのこと。ただし警察は週末にかけて劇場のパトロールを実施し、警戒を強めたようだ。なお公開に先がけて、ロサンゼルス市警、ニューヨーク市警、米軍は「明らかな脅迫行為は確認されていない」と発表していた。しかし今回、ハンティントンビーチ警察は、制服警官の出動がふさわしいと判断したことを認めている。

不審者の出現で観客が自主避難

10月5日(土・現地時間)には、同じくカリフォルニア州のロングビーチ・タウンセンターにある映画館「Regal Edwards」に不審者が現れたとの通報があり、夜9時に警察が出動した。調査によると、『ジョーカー』の上映中、バックパックを背負った不審な男が、シアター内の前方にある非常口付近を歩き回り、観客の様子を窺っていたという。観客は男が武器を持っているのではないかと恐れ、自主的に劇場の外へ避難した。

警察によって男はすみやかに拘束されたが、武器の類は持っていなかったとのこと。ただし男は拘留されたといい、6日時点の報道では、その後も捜査は行われると伝えられている。

このたび伝えられた2件のケースは、幸いにしてどちらも大きな事件には発展しておらず、直接的に危害を被った被害者も出ていない。愉快犯などの登場が危惧され、一部では作品を非常に危険視する声も上がっていただけに、今後の上映も引き続き安全に実施されることを心より祈りたい。観客や作り手の誰も望まぬような現実の犯罪が起こることで、映画の作品が過度に危険なものとして扱われることほど、作品や人々にとって残念なことはないだろう。

映画『ジョーカー』は2019年10月4日(金)より全国公開中

Source: Los Angeles Times, The Orange County Register, Variety, Long Beach Post

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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