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世界1000億円突破の『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』ジェイク・カスダン監督に訊く大ヒットの極意

ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル
©THE RIVER

世界中で予想のナナメ上をゆく大ヒットを記録した映画『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』が、2018年4月6日(金)よりついに日本公開を迎える。本作を大成功に導いたジェイク・カスダン監督が来日、THE RIVERによるインタビューに応じた。

ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル
©THE RIVER

「ここまでヒットするとは」

関係者は口を揃えて「こんなに大ヒットするとは思わなかった」と驚く。全世界55カ国でNo.1、全世界興行収入は1,000億円を超えた。全米では公開3週目で『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』を抜き、No.1の座を3週連続で譲らなかった。さらに7週目になると突然No.1に返り咲くという底力まで発揮している。これほどの大成功、ジェイク・カスダン監督自身は予想していたのだろうか?

「いや、サプライズでしたし、とても興奮しています。楽しんで作った映画だから、観客にも同じように楽しんで欲しいなという期待はありましたが、正直ここまでヒットするとは思っていませんでしたよ。」

ジェイク・カスダンは、父に映画監督で脚本家のローレンス・カスダンを持つ。ローレンスと言えば『スター・ウォーズ』シリーズの脚本家としても知られるわけだが、「その『スター・ウォーズ』すらも抑えたわけですね」と伝えると、「まぁね。えへへへ」と笑った。

ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル

ヒットのカギは逆転の発想

1996年のオリジナル版では、ゲームの世界に閉じ込められていたロビン・ウィリアムズ演じるアランや、ゲーム内の動物たちが現実世界に飛び出してパニックを起こす内容だったが、今作では逆に登場人物がゲームの中に吸い込まれることとなる。オリジナル版のアイデアを抜本的にひっくり返したわけだ。監督は、この逆転の発想が、現代の若者に魅力的に映ったはずだと分析する。

「まさにそのポイントこそが、僕がこの作品を魅力に感じた理由なんです。今回のジュマンジでは、超常的な力で登場人物がゲームの中に入って、元の姿とは真逆の外見のゲームキャラクターと身体が入れ替わる。この発想が魅力的だし、斬新だなと思いまして。当時はボードゲームだったけれど、TVゲームにすることで現代の子どもたちが納得できる形に変えたわけです。

“ジュマンジ”自体は架空のTVゲームだが、その世界観は「『アンチャーテッド』や『トゥームレイダー』のようなアドベンチャーゲームを参考にした」と言う。「架空のゲームだからこそ、ゲーム内のルールを自由に作れて楽しかったです。このルールは映画の物語とコメディ要素を支えるものでなくてはいけなかったし、ゲーマーが観ても説得力があるものを作ろうと心がけました。」

ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル

現実世界とゲーム世界、舞台切り替えタイミングの妙技

実は、1996年のオリジナル版『ジュマンジ』は、劇中でなかなかボードゲームをプレイしないのだ。キルスティン・ダンスト演じるジュディがサイコロを振るのは映画開始25分後で、ロビン・ウィリアムズがゲームに加わるのは50分も経過した後。今回の『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』では、観客の注意を惹き付けるため、なるべく早くゲーム内世界に舞台を移したい意図もあったのではないだろうか。一方で、現実世界の姿から真逆イメージのゲームキャラクターに「ボディスイッチング」するという性質上、事前のキャラクター説明が希薄になってしまうと、今度は誰がどのキャラクターに入れ替わったのかが把握しづらく、面白味も無くなってしまう。こうした現実世界とゲーム世界の舞台移動のタイミングやテンポ感は苦労が問われたと想像できるが、実際のところを監督に尋ねた。

「まさに。それ、僕たちもかなり話し合っていましたよ。ゲームに吸い込まれる前の段階で、高校生のキャラクターをしっかり描きたくて。ゲーム内に入った時に、誰がどのアバターと入れ替わったのかが分かるようにしたいし、それぞれに思い入れを持ってもらいたいからですね。同様に、現実の姿に戻った時には、物語を解決させる役割はキッズたちの手に委ねられるわけですから。ふつう、映画では導入部分とラストは素早く描かれてしまうものだけど、僕はそこにしっかり時間を費やしたかったんです。ストーリーさえしっかりしていれば、観客も(時間をかけた導入・ラストに)ちゃんと付いてきてくれると思うからです。」

こうした人物造形を出来うる限り丁寧に行ったことで、ジェイク監督は今作にアクション・コメディ以上の魅力をもたらしている。それは『スタンド・バイ・ミー』(1986)や『ブレックファスト・クラブ』(1985)のような、ティーン・エイジャーの青春群像劇だ。まさにこの二作について、監督は「そう、そう」と頷きながら答えた。

「その通りですね。こういった成長物語には、色褪せない価値があると思います。ティーン・エイジャーが自分を見出していく、みたいなテーマは、世界がどんなに変わっても胸に響くものですよね。『スタンド・バイ・ミー』や『ブレックファスト・クラブ』も大好きですし、今作でこうしたストーリーを全く新しい形で盛り込むことができたのは、素晴らしい機会に恵まれたと感じています。」

準備は「ある程度」まで、わざと余白を残す環境づくり

THE RIVERのインタビューに対し、ルビー・ラウンドハウス役のカレン・ギランは、あるギャグシーンについて「実はほとんどアドリブだった」と、ニック・ジョナスは「セリフをわざと間違えてみんなで爆笑していた」と語るなど、本作はワイルドで笑いの絶えない現場で撮影された様子だ。その面白さがスクリーンを通じて伝わってくるわけだが、監督はこうした自由な現場をあえて作り上げていたのだという。

「アクションやVFXといったフィジカル要素も強い、手の込んだ撮影ですから、本番前には万全の計画が必要でした。でも、せっかく面白い役者さんが揃ったのだから、彼らならではの持ち味を出させないわけにはいかないだろうと。だから、ある程度まで事前準備をしておいて、後はその場で新しいクリエイティビティが自然発生するような環境にしました。

自由な即興センスで、『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』に新たな笑いとエネルギーをもたらしたゲーム世界のキャストたち。ジェイク監督は米メディアに対し、「キャスティングはファースト・チョイスだった」と語っていた。直感に従った選択が功を奏した。

「確かに、ファースト・チョイスでした。特定のイメージに結び付けられるような役者を選んだつもりです。現実世界の人格とは真逆となるようなキャストを探していたときに、一番始めに思い描いたキャスティングだったんです。まず最初にドウェイン・ジョンソンが浮かびました。ユニークで、現実離れしていて、面白味も愛嬌もたっぷりだから、スペンサーのアバターとして絶対にピッタリだと思いまして。」

物語では、ゲームキャラクターに入れ替わった4人が、冒険を通じて成長する。始めは自分本位だったキャラクターも、いつしか他者のために思いやり、ヒーローとして成長していく過程も描かれる。

「キャラクターひとりひとりがヒーローになっていく過程を描くことが重要だと思いました。互いを気にかけ合い、助け合い、みんなにとって正しいことをするために、時に厳しい決断もする。中には、ゲームの中でしか成し得ないような等身大以上の活躍もあるわけだけど、もっと小さな英雄的行動も描かれる。でも、そういう行動はみんな等しく重要であると思うんです。”ヒーローへの道”を、それぞれのキャラクターが見付けていく、というもの見どころですね。

(取材、撮影、文:中谷直登)

ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル
©THE RIVER

映画『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』は、2018年4月6日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー。

『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』公式サイト:http://www.jumanji.jp/

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THE RIVER編集部THE RIVER

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