『ジュマンジ/ネクスト・レベル』セットへのこだわり ─ スーパーマーケットの元倉庫に作った街

『ジュマンジ』シリーズと言えば、CGやVFXなどの視聴効果に注目が集まりがちだが、最新作『ジュマンジ/ネクスト・レベル』では、“ジュマンジの世界”(=ゲームの世界)にリアリティを持たせるセット作りも見どころのひとつだ。
前作『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』に引き続き、再びメガホンを取るジェイク・カスダン監督は、本作ではジャングル以外のステージを探検したいと考えた。美術監督に選んだのは、『アクアマン』や、『ワイルド・スピード ICE BREAK』、『ハングオーバー!』シリーズで知られるベテラン美術監督のビル・ブルゼスキー。「ビデオゲームっぽく見えないようにして、キャラクターたちのリアリティを感じてもらうには、実際のロケーションで撮影し、『ジュマンジ』のリアリティにしっかりと根を張らなければいけません。『ジュマンジ』は特別な場所。人々の悩みを解決するために作られた場所なんです」と語るビル・ブルゼスキ。マンドリルの大群が襲ってくる深い峡谷に吊り下げられているいくつもの縄の橋や、ラスボスこと残虐王ユルゲンとの対決を迎える氷に覆われた山の上の城塞など、撮影前の数か月間と、撮影期間の2か月間、セットを造っては解体し、また新しいセットを建てるということを繰り返し行っていたそう。
中でも、ダチョウの大群とのカーチェイスを繰り広げ、命からがら逃げ込んだ砂漠の「オアシス」という名のエキゾチックな市場のセットは本作の隠れた見どころと言っても過言ではない。本編では、ゲームの世界に吸い込まれた主人公・スペンサーが“ジュマンジの世界”の新キャラクター、ミン・フリートフット(オークワ・フィナ)として登場し、救出に来た仲間たちと再会を果たす物語が大きく転換する大事なシーンだ。
この砂漠の町のセットには、縮尺どおり造るための広大なスペースが必要だった。そこで見つけたのが、スーパーマーケットの元倉庫。かつては東海岸の各店舗へ運ぶ前の食品が保管されていたその巨大な倉庫に、役者やカメラを収容。「オアシス」を舞台にしたアクション・シークエンスを撮影するため、町がまるごと作られた。中央広場、バー「スモークスタック」、タトゥー・ショップ、鍛冶場、肉屋、そしてスパイスや衣服やラグなどを売る店が並ぶバザール、さらにはラクダ小屋までがここに収められたのだ。ブルゼスキーは解説する。
「普通はデジタルエフェクトを使って空間を広げていくんですけど、今回は作ってしまおう、ということになりました。それで、できるだけ高く広いスペースにして、ジェイクの希望どおり、ほぼすべてを『カメラの中』でとらえられるようにしたんです。あらゆるものが揃っているから、セットだけでうまくいく。優秀なセットデコレーターが、町の店一つ一つに個性を持たせてくれました。」
ベースとなったのはモロッコの建築。「カサブランカのユダヤ人街にインスパイアされたんです。どんな店にするか、肉屋はどんな感じなのか。中東の古い街や小さな町には、曲がりくねった道とかが今も残っているんです。」素晴らしいアーティストたちが作り上げた未舗装の道やくすんだ色彩、そして信じられないほどのディテールにあふれる「オアシス」の町のセットを見ると、お香の匂いまで漂ってくる気もするセットもまた、本作の魅力なのだ。
映画『ジュマンジ/ネクスト・レベル』は2019年12月13日(金)日米同時公開。