【ネタバレ】『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』エンディング解説 ─ なぜ人間主体の物語になったのか、「シリーズを前進させるため」と監督

この記事には、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』のネタバレが含まれています。
コリン・トレボロウ監督、『ジュラシック』シリーズを継続するために試みた別のアプローチ
『新たなる支配者』でメガホンを取ったのはシリーズ第1作『ジュラシック・ワールド』(2015)を手がけたコリン・トレボロウ監督。公開当時、トレボロウ監督が英Empireに語ったところによれば、本作では『ジュラシック・パーク』を含むそれまでのシリーズ5作とは異なるアプローチを意識したのだという。それが、恐竜主体の物語から人間主体の物語への転換だった。
「シリーズのDNAを変えるために、私は特に他の映画とは違うことをしました。これまでの5作は恐竜についての話でしたが、本作は恐竜と共存する世界の登場人物たちの物語です。このシリーズが前進するためには、“島に戻らなければいけない理由はこれです”というように提示するのではなく、恐竜が存在する世界で物語を語らせるにはどうしたらいいのだろうか、と考えました。」

たしかに全体を通して物語では恐竜たちへのフォーカスが薄れていった印象で、基本的には人間キャラクターたちの群像劇で前進していった。そうした背景の一つとして、『ジュラシック・パーク』から復帰した俳優陣を含めキャストの意向も汲み取る必要があったようだ。トレボロウ監督は、本作が「私たち全員による産物だ」と米Indiewireに語る。
「私は、クルーの方々とだけではなく、特に物語を構築する上では俳優たちと密接に協力しました。この映画では、ローラ・ダーンがこの物語から何を必要とし、サム・ニールやジェフ・ゴールドブラムが何を必要とし、クリス・プラットやブライス・ダラス・ハワードが何を必要とし、そして共同脚本家のエミリー・カーマイケルが何を必要としていたかに影響を受けました。」
シリーズを一貫して描かれた「共存」というテーマも、人間主体の物語となった所以だろう。「私たちは『ジュラシック・パーク』を人間たちがムシャムシャ食べられる恐竜のシリーズだと考えています」と語るトレボロウ監督だが、「警告でもあると思います」と強調する。
「科学は自然界を改変するほどの驚異的な力を私たちに与え、私たちはその結果を目の当たりにしています。みんな、その結果とともに生きています。だから、生き残るために自然界を前に必要とされる謙虚さについての物語を語ることができるのは、私にとって意味のあることだと感じました。」

本作をもって、トレボロウは監督を卒業する意思を見せている。一方、次世代のフィルムメイカーたちにとってのメンターとなるのは大歓迎の様子だ。「私がスティーブン(・スピルバーグ)とやったように、もし別の頭脳がテーブルを用意して、“話を聞いてください、アイデアがあるんです ”と言ってきたら、僕やスティーブンは“もちろん”と答えるでしょうね」と語っている。
現在、『ジュラシック・ワールド』からはシリーズ第4作が進行中。監督には、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)や『ザ・クリエイター/創造者』(2023)のギャレス・エドワーズが就任している。米公開は2025年7月。もしかすると今この瞬間もトレボロウ監督はメンターとして次なる物語のアイデアを聞いているところかもしれない。
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