『ジュラシック・ワールド』最新作、『ゴジラ』『ザ・クリエイター』ギャレス・エドワーズ監督が交渉中 ─ スタジオの狙いを読む

『ジュラシック・ワールド』シリーズ新作映画の新たなる監督として、『GODZILLA ゴジラ』(2014)『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)や『ザ・クリエイター/創造者』(2023)などのギャレス・エドワーズが交渉に入っていることがわかった。米Deadlineなどが伝えた。
この映画は『ジュラシック・パーク』『ジュラシック・ワールド』世界の新時代を描く企画で、すでに2025年7月2日の米公開予定が決定している。先駆けて『デッドプール2』(2018)『ブレット・トレイン』(2022)のアクション系監督デヴィッド・リーチが交渉に入っていたが不成立に終わっており、ユニバーサル・ピクチャーズは新たな監督探しを急いでいた。
エドワーズといえば、映像撮影を先に行い、あえてVFXなどのデザインをポストプロダクション段階で行うことによって、柔軟な撮影とオーガニックな表現を実現させる「リバース・エンジニアリング」を得意とする型破りのフィルムメーカー。『ザ・クリエイター』ではSF感とローカル感が混在する独自のルックを作り上げた。
また、『GODZILLA ゴジラ』では言わずもがな、大怪獣を街に出現させている。初期作『モンスターズ/地球外生命体』(2010)では、未知との遭遇をロードムービー仕立てで新鮮に描いた。エドワーズの手法を『ジュラシック・ワールド』に持ち込めば、これまでにないオーセンティックな仕上がりの恐竜を拝めるかもしれない。
さらにエドワーズは、『ザ・クリエイター』ではAIとの共存を主題とした。『ジュラシック』シリーズの監督に就任すれば、今度は恐竜と人類の共存について、興味深い洞察を見せてくれるに違いない。
デヴィッド・リーチやギャレス・エドワーズへの交渉が続いていることからは、今度の新作にかけるスタジオの狙いが見て取れる。独自の世界観や作風を持ちつつも、ある程度の大作映画・大型企画の経験があるフィルムメーカーを狙っているということだ。これは、インディー映画出身のコリン・トレヴォロウやJ・A・バヨナを起用した『ワールド』トリロジーの采配とは明らかに異なる点である。スタジオは、新たな風を吹き込む個性派の才能を求めているが、同時に大型作品ならではの苦労も知り、ハンドリングできる経験者を探しているのではないか。
エドワーズの『ザ・クリエイター/創造者』は、彼にとってオリジナルの意欲作だった。製作費は8,000万ドルと比較的低額だったが、その限られた予算で数億ドル作品同等のルックを作り上げている点の功績は大きい。しかしながら『ザ・クリエイター』は興行収入で大苦戦し、彼の挑戦は全てが報われたわけではなかった。
もしも『ジュラシック・ワールド』の新作に就任することができれば、それは彼にとってスティーブン・スピルバーグ(製作総指揮)と仕事を共にし、フィルムメーカーとしてステップアップする大きなチャンスでもある。ゴジラ、ダース・ベイダー、AIロボットとの対峙を臨場感たっぷりに描いたエドワーズ、次のお相手は恐竜となるか。
ともあれ、2025年7月の米公開までそう時間はない。交渉が成立すれば、エドワーズは急ピッチで製作に入ることとなりそうだ。
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Source:Deadline