『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』プロローグ映像、本編ではなぜカットされたのか?

『ジュラシック・ワールド』シリーズ最新作にして完結編、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』にはとある映像が含まれていなかった。それは、2021年11月に公開された“プロローグ映像”。一体、なぜ本編では組み込まれなかったのだろうか?
5分に渡る本映像の冒頭で描かれるのは、6,500万年前の白亜紀時代。人類が存在する遥か以前の地球で活動する恐竜たちの姿が明らかにされるだけでなく、恐竜のDNAが蚊によって運ばれる瞬間を垣間見ることができる。また、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018)の最後で世界中に放たれた恐竜たちが、人類を史上最大の危機へと陥れていく衝撃の映像も登場した。
まさしくストーリーのプロローグとなる内容が描かれた映像だが、それが劇場公開版に含まれなかったのはなぜだったのか。この気になる疑問に答えてくれたのは、本作の監督を務めたコリン・トレボロウ。The Wrapのインタビューにてトレボロウ監督は、その理由について、「夏の大作映画としては、(テレンス・)マリック風すぎるのかもしれません」と答えている。
テレンス・マリックといえば、『天国の日々』(1978)や『シン・レッド・ライン』(1998)をはじめ、『ツリー・オブ・ライフ』(2011)『名もなき生涯』(2019)など、透明感あふれる幻想的な映像を通して物語を紡ぐことで知られる巨匠監督。プロローグ映像もまた恐竜たちの息づかいから白亜紀の光景が美しく撮影されていたが、ゆえに夏の大作映画としては上手く馴染まないと、トレボロウ監督は判断したようだ。
もっとも、“テレンス・マリック風”と先に映像について表現していたのは、The Wrapの記者であり、トレボロウ監督ではない。どうやらプロローグ映像を使用しなかった理由はほかにも存在していたようだ。トレボロウ監督いわく、「映画の冒頭5分間となる予定だったもので、とても誇りに思っているものでした。ただ、映画の上映時間をどうするかと話し合っていくなかで、かなり長い映画になることから、この映像を削除しなければならないことに気付いたんです」という。本編の上映時間は、2時間27分。それ以上の長さにするべきではないと考えたのだろう。
なおトレボロウ監督は、このプロローグ映像について「僕たちが創り出す世界に人々を引き込む方法として観てもらいたかった」といい、スタジオのユニバーサルが監督の思いを汲み、YouTubeなどを通して無料公開してくれたとも説明している。「願わくば、いや必ずやいつかまた、その映像を目にすることができるでしょう」とも予告している。ディレクターズ・カット版などが製作される可能性もあり得そうだが、果たして……?
『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』は公開中。
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Source:The Wrap