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『ジュラシック・ワールド/炎の王国』ウー博士を悪役と呼ばないで! 俳優B・D・ウォンが力説

ジュラシック・ワールド/炎の王国
© Universal Pictures

映画『ジュラシック・ワールド』シリーズには、『ジュラシック・パーク』3部作のテーマをある意味で一身に背負って登場するキャラクターがいる。『ジュラシック・パーク』(1993)に登場したヘンリー・ウー博士だ。優れた遺伝子学者である彼は、『ジュラシック・ワールド』(2015)でインドミナス・レックスを誕生させ、続編『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018)では新たな遺伝子実験に取り組んでいる。問題は、それらがとことん惨劇につながっていることだ……。

しかし『ジュラシック・パーク』から一貫してウー博士を演じている俳優B・D・ウォンは、自身の演じるキャラクターをシンプルな悪役だとは捉えていないようである。米The Hollywood Reporter誌にて、そのキャラクター造形の秘密が語られている。

「悪役と呼ぶのは単純化だと思う」

ウー博士役のB・D・ウォンにとって、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』は3度目の『ジュラシック』シリーズ作品だ。ところがウォンにとって、現在のウー博士は「1993年に登場した際とは似ても似つかない」という。そこには、前作を監督し、本作の脚本・製作を兼任したコリン・トレボロウの着眼点があるようだ。

「彼(トレボロウ)の創造性やアイデアに刺激を受けなければ、きっと僕にとっても(ウー博士の再演は)ありふれた仕事以下のものになっていたと思います。[中略]少ない出番の中にも、面白くて危険で、そして人間らしい物語を与えてくれました。」

確かに劇中では恐ろしい実験に手を出すウー博士だが、そこには一人の人間としての思想がある。それゆえにウォンは、「彼を悪役と呼ぶのは矮小化、単純化だと思います」と語るのだ。

「確かに彼(ウー博士)は非常に大きな議論を呼ぶような選択を取っています。科学への愛情や自分自身のエゴに突き動かされ、しかも自分自身の大きな実績に支えられているんです。彼は本物の天才で、生物を創造するテクノロジーに対して非常に重い責任を負っている。ただし、より大きなイメージを思い描いているために、その結果として人間が受ける被害を見ることができていないんです。それこそが彼の弱点で、そこを今後乗り越えられるかどうかはわかりません。『炎の王国』で彼は窮地に陥るんですが…みなさんがどう反応してくださるか楽しみですね。」

ウォンはウー博士について「非常に魅力的で、また健全な精神の持ち主」だと考えているという。なぜなら博士は自分の才能を信じていて、自分の仕事を評価してくれる人々に励まされているからだというのだ。そんな博士の人物像と、俳優としての自分自身を比較しながら、ウォンはこのようにも話している。

「(ウー博士は)自分のやっていることが人類にとって崇高なものだと考えているんですよ。一方で僕は俳優として、面白いアイデアをお伝えしたり、物事に対する人々の考えを変えるお手伝いができると思っている。ウーと同じレベルだとは思いませんけど、ストーリーテラーが描きうるものの役に立つことはできると確信しているんです。」

映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』は2018年7月13日より全国の映画館にて公開中

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』公式サイト:http://www.jurassicworld.jp/

Source: THR

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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