【ネタバレ】『ジョン・ウィック:コンセクエンス』圧巻のクライマックスアクション、丸々カット寸前だった ─ 「成り立つはずがないと思った」と監督

この記事には、『ジョン・ウィック:コンセクエンス』のネタバレが含まれています。

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』ドラゴンズブレス弾、カット寸前だった
掛けられた懸賞金の額が次々と跳ね上がるジョン・ウィックは、そこらじゅうに潜む殺し屋から追われることとなった。本編後半、火を吹くドラゴンズブレス弾を装備したジョンは、パリのアパートに足を踏み入れた。そこから1分以上にわたり、ジョンがブレス弾で敵を薙ぎ倒していく姿が長回しで続いていく。最初はジョンにクローズアップしていたカメラも次第に遠ざかり、部屋の間を飛び越える俯瞰撮影に変わっていった。
スタエルスキ監督は、見せ場の一つとも言えるこのアクションシーンに苦戦していたという。米Vultureに「あまりピンと来なかったんです。ただのアパートでの戦いでした」と製作当時を振り返っている。しかしある日、監督はとあるゲームを見て閃いたのだった。2019年、Vreskiより発売されたトップダウンシューティングゲーム「The Hong Kong Massacre」だ。公式より公開されているゲームプレイ映像を見ると、両者の類似性は一目瞭然。スタエルスキ監督は、「成り立つはずがないと思うビジュアルでしたが、成り立ってしまいました」と振り返る。
こうしてアイデアを得た製作陣は、ドイツのポツダムにあるスタジオでセット建設に取り掛かり始めた。その間、殺し屋を演じるスタントマンたちも長回しに備えてリハーサルを入念に行った。阿吽の呼吸が求められる為、コレオグラフィの考案には3週間費やされたのだとか。スタエルスキ監督は、「誰かがミスしたら、また振り出しになってしまう。なかなか堪えるリセットでした」と当時の苦労を振り返っている。
また、撮影のメインパーソンであるキアヌは、俯瞰ショットで顔が見えないことからスタントダブルに演じてもらうことを提案されたというが、「いや、自分でやりたいです」と手を挙げたそう。スタエルスキ監督も「よし、分かった。そしたら私たちも失敗できないな」と気を引き締めたそうだ。セットの建設は急ピッチで行われ、完成したのは撮影開始前日の金曜日。翌月曜日から3日間、ドラゴンズブレス弾のシークエンスの撮影が行われたという。

完成版のシーンでは、ドラゴンズブレス弾から噴出されるド派手な火炎が華々しさを創出していた。しかし実はこの火炎、デジタル処理で追加されたもの。撮影中は、ドラゴンズブレス弾の代わりにトーチバーナーが使用され、VFXチームが後から火炎や閃光を加えたのだという。
このようにドラゴンズブレス弾のシーンには並々ならぬ労力がかけられたが、スタエルスキ監督ら製作チームは、編集の段階まできたところでカットするか否かの決断を迫られていた。
「カッコいい視覚効果抜きで俯瞰ショットを見て、ドラゴンズブレスが銃口炎と一緒に全く出てこなかった時、これはカットかな、と思いました。最後の最後まで、“多くの人がカットすべきだと思うリスト”に入っていましたよ。ある時、視覚効果を暫定的に入れてみたら、みんなも、“まさかこんな風になるとは思わなかった”と思い始めたんです。」
結果的に、「カットしなくてよかった」と感じたというスタエルスキ監督。このシーンの後、キアヌ演じるジョンは延々と続く階段を上がっては落ちることを繰り返し、極限の疲労状態で最後の決闘に挑むことになった。ドラゴンズブレス弾のシーンが有るか無いかで、第三幕の印象は大きく異なっていたはずだ。
映画『ジョン・ウィック:コンセクエンス』は公開中。
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Source: Vulture