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『エターナル・サンシャイン』チャーリー・カウフマン、小川洋子『密やかな結晶』の脚色を検討中 ─ 記憶狩りによって“消滅”が進む島の物語

チャーリー・カウフマン
Photo by Anna Hanks https://www.flickr.com/photos/annaustin/27441349145/ | Remixed by THE RIVER

『マルコヴィッチの穴』(1999)『エターナル・サンシャイン』(2004)の鬼才チャーリー・カウフマンが、芥川賞作家・小川洋子による小説『密やかな結晶』(講談社文庫)の脚色を検討しているようだ。実現する場合、これが映画となるのか、あるいはドラマとなるのかは不明。Chicago Humanities Festivalにて明かしている。

『密やかな結晶』は1994年に日本で刊行された作品。主人公・語り手の女性作家を通して、静かに“消滅”が進む島の生活を捉えた物語だ。何の変哲も無い島では、日常に当たり前のように存在していた物が突然消滅するという事態に見舞われていた。それにあわせて、人々の記憶から、その物自体の概念まで抹消されていく。記憶の消滅を免れる人も中にはいるが、秘密警察に気付かれると直ちに追われ、どこかに連れ去られてしまう。つまり、“記憶狩り”だ……。

『密やかな結晶』
『密やかな結晶』(講談社文庫)

チャーリー・カウフマンは、「複数の企画が進行しています」と現状を明かしながら、次回作として検討する為に読んでいる小説についても言及した。「今ここで話すべきかは分かりませんが、知り合いに脚本を書くように言われている作品があります。『密やかな結晶』という小説で……今のところ気に入っていますよ」。『マルコヴィッチの穴』『エターナル・サンシャイン』など、カウフマンは人間味溢れる物語を、独創的な想像力で世界観を作り上げる脚本家だ。もしも、同小説の脚色を担当することになった場合、一体どんな作品に仕上げるのか。

『密やかな結晶』は、1994年に刊行されてから既に25年以上が経っている。そもそも何故、現在になって海外から注目されているのだろうか。それは、同小説の英訳版『The Memory Police』が、2019年に米国で刊行されて、受賞こそ逃したものの、全米図書賞の最終選考に残ったことが背景にあると思われる。また、2020年8月26日(現地時間)に最終結果が発表される、英国のブッカー賞国際部門にノミネートされていることも理由の一つなのだろう。

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Source: Chicago Humanities Festival , The Playlist

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Minami

THE RIVER編集部。「思わず誰かに話して足を運びたくなるような」「映像を見ているかのように読者が想像できるような」を基準に記事を執筆しています。映画のことばかり考えている“映画人間”です。どうぞ、宜しくお願い致します。

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