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ケヴィン・スミス、監督デビュー作の印税を7年間もらっていなかった ─ ワインスタインとのトラブルを明かす

ケヴィン・スミス
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/35437676624/ Remixed by THE RIVER

『モール・ラッツ』(1995)や『ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲』(2001)などで知られる映画監督・俳優のケヴィン・スミスが、デビュー作『クラークス』(1994)の印税を7年間にわたり受け取っていなかったことを明かした。その間、支払いを怠っていたとされるのは、かのハーヴェイ・ワインスタイン。かつては剛腕プロデューサーだったが、2020年2月には性暴力で有罪判決を受け、禁錮23年の判決が下されている。

スミスのデビュー作である『クラークス』は、とあるコンビニエンスストアを舞台に、アルバイトの主人公と同僚、友人や客が織りなすコメディ。この作品を手がけたのが、当時ワインスタインが経営していたミラマックスだったのだ。当時、ミラマックスは『クラークス』の権利を22万7,000ドルで購入。同作は米国興収320万ドルを記録したのち、VHSが爆発的な売れ行きを記録。1994年のカンヌ国際映画祭ではユース賞(外国部門)に輝き、現在もカルト映画として愛されている。

Varietyのインタビューにて、スミスは「あの映画で僕が利益を得られるまでに7年かかったんです」と告白している。「7年間ずっと、“まだ利益は出てない”と言われ続けていて。“どういうこと?”という感じだったんですが、いろいろ理由があったんですよ」

『クラークス』がカンヌ映画祭で賞に輝いた際、ミラマックスはさらに3本の映画をカンヌに持ち込んでいた。同年のパルムドールを射止めた『パルプ・フィクション』のほか、工藤夕貴主演『ピクチャー・ブライド』、『フレッシュ』だ。ミラマックスは当初『クラークス』を頭数に入れていなかったが、カンヌ映画祭の批評家週間で受賞したことから、スミスらも映画祭に参加することになったという。

スミスによると、ミラマックスは映画祭の場に“ミラマックス・ヨット”という通称のヨットを出しており、映画祭に参加したスターはそこで過ごすことができたという。スミスは「あれは僕たちのためのヨットじゃなかった」と振り返っているが、最大の問題は別のところにあった。映画祭が終わったあとの決算書に、カンヌ映画祭で掛かった費用は4作品が等分すると記されていたのだ。『クラークス』も『パルプ・フィクション』も、同じだけ経済的負担を強いられたというのである。

「弁護士のジョン・スロースが“こんなのはクソだ、監査に掛けないと”と言ったのは忘れられませんよ。だけど僕は“仕事相手を監査には掛けられない、まずいよ”と言って。結局、『クラークス2/バーガーショップ戦記』(2006)のあとまで監査をしなかったんです。だから、随分あとでたくさん支払ってもらいましたけどね。もっとビジネスに長けていれば、もっと多くもらえたんでしょう。だけど、僕は“なるほど、これが彼らのやり方か、映画界の計算か”と思っていました。実際、スタジオと仕事をすると、もっと書類が多いし、ささいなお金のことも分かるんですけどね。この業界は誰でも、できるだけたくさんお金をもらいたがるものだから。」

このインタビューで、スミスは「お金は僕のモチベーションにはならない」とも語っている。どうやらその姿勢は事実のようで、7年間にわたって印税をもらえなかったことは重大かつ信用にかかわるものながら、その後もスミスはワインスタインとの仕事を続けているのだ。その理由は「作品ごとに報酬を前払いで受け取っていたし、すごく給料が上がっていったから」。創作のモチベーションにこそならずとも、スミスは「給料が上がったのはすごく良かった」と話している。ただし彼は、のちに“ワインスタインの性暴力を知っていれば一緒に仕事はしなかった”との旨も語った。

2017年、ワインスタインのセクシャルハラスメントと性暴力が告発されたのちには、ワインスタイン・カンパニーが5億ドル以上の負債を抱えていることが発覚している。そのうち、約1億ドルは未払いの報酬だったということだ。長年にわたり、受け取るべき利益を受け取れていなかった出演者やスタッフはスミス以外にも少なからずいたのである。

Source: Variety(1, 2

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

THE RIVER編集部。「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。劇場用プログラムや各種媒体への寄稿なども喜んで承りますので、お気軽にお尋ねください。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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