『キル・ビル』Vol.1と2をまとめた完全版、一本の映画として米劇場公開 ─ 未公開アニメシーン追加、「血みどろの迫力を大スクリーンで」

クエンティン・タランティーノ監督による『キル・ビル Vol.1』(2003)と『キル・ビル Vol.2』(2004)を1作にまとめ、さらに未公開のアニメシーンを加えた“幻の完全版”『Kill Bill: The Whole Bloody Affair(原題)』がライオンズゲートより2025年12月5日に米劇場公開されることが分かった。米Varietyなどが伝えている。
『キル・ビル』シリーズは、夫やお腹の子どもを殺されてしまった元エージェントのザ・ブライド(ユマ・サーマン)が復讐を果たすために壮絶な戦いを繰り広げる物語。危険で魅力的なキャラクターが続々と登場し、タランティーノがこよなく愛する日本映画や香港映画へのオマージュに溢れる本作は、当時商業的にも成功をおさめ、今日も高いファン人気を誇っている。
もともと『キル・ビル』は1本の映画として構想・撮影されていたが、編集過程で4時間を超える超大作の長さを調整するため『Vol.1』『Vol.2』の2部作に分割された経緯がある。『The Whole Bloody Affair』は、『Vol.1』結末でのクリフハンガー演出、『Vol.2』冒頭での前作のおさらい部分を省略し、これまで未公開だった7分半のアニメーション・シーケンスを新たに追加したもの。一部上映は70mmと35mmフィルムで行われる。
タランティーノは2006年、カンヌ国際映画祭で『The Whole Bloody Affair』をコンペティション外作品として初上映した後、単体作品として公開する計画を2008年に打ち出した。再編集版は2011年、自身が所有するロサンゼルスのニュー・ビバリー・シネマで初上映され、以降長らく保管庫に眠っていたが、アニメーションを含むバージョンが存在することをタランティーノは2014年時点ですでに明かしていた。
タランティーノはこの度の劇場公開にあたって、「私は本作を1つの映画として脚本を書き、監督しました。そしてファンに1つの映画として鑑賞する機会を提供できてとても嬉しいです。『Kill Bill: The Whole Bloody Affair』を観る最高の方法は、映画館で栄光の70mmか35mmフィルムでの鑑賞。血みどろの迫力が、その栄光を余すところなく大スクリーンに映し出されるのです!」とコメント。自らのフィルモグラフィを振り返り「究極のクエンティン映画」と称する『キル・ビル』を完全版形式で送り出せることはまたとない喜びだろう。日本でもお目にかかれることを祈りたい。ヤッチマイナ!
『Kill Bill: The Whole Bloody Affair(原題)』は2025年12月5日、米劇場公開。
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