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まだ間に合う!『君の名は。』を観ていない人に贈りたい、この映画の3つの魅力

脅威的なヒットを打ち出し、今なお動員数を伸ばし続けている「君の名は。」を、苦節2ヶ月経ってようやく観ることが出来た。鑑賞後にこぼれたのは、名作を堪能したという満足のため息。なるほどリピーターが続出するわけだと納得せざるを得ない完成度の高いエンターテインメント作品だった。

既に観客動員数1,000万人を突破したこの作品ですが、私同様未だに観ていない人もいるはず。そこで、この映画を観ようか躊躇している方、周りの「君の名は。」熱に気圧されて足が遠のいていう方に、できる限りネタバレをしない範囲でこの作品の素晴らしさをレポートしたい。

ウットリして胸が締め付けられるほどの映像美

実は私、新海誠監督の作品自体初めて。彼の作品のレビューを覗くと、そこには必ず「映像」への高い評価が見受けられるのだが、今回はその意味するところを存分に味わうことができた。

背景のリアリティはもちろんなのだが、そこはかとない「儚げ」な映像表現がなんとも言えないのだ。 それを可能にしているのが、おそらくこだわりにこだわり抜いているである「光の表現」にあるのだと思う。

日中草木や山、そして水を照らす日の光や、黄昏時の燃えるような赤い灯火。特にヒロインである三葉の住む田舎の風景は、日本人の郷愁の念をダイレクトに刺激してくる。正直、この映像を観るためだけに劇場へ足を運んで欲しいと言いたいくらいの素晴らしさだった。

入れ替わりプラスアルファのSF要素と、青春のすれ違いの絶妙な融合

本作では、主人公の瀧、三葉の2人が巻き込まれる不思議な「入れ替わり」という現象が主軸だ。この要素に思春期の恋愛がよくマッチしている。ただ、これ自体は他のラブコメでも使われている要素で、別段新しいわけでもない。

しかし、「君の名は。」の良さはさらにここに、SF的なプラスアルファの要素をミックスしていることにある。ただのすれ違いなら単純明快に見えた意思疎通も、この要素のおかげでもどかしさ、焦燥感、そして相手への慕情が急加速しているのだ。そしてこの要素が結果として、この後にも語る作品の魅力を存分に高めることに繋がっている。

非常に完成度の高いエンターテインメント性

「完成度の高いエンターテインメント作品」

映画を観終えた時に真っ先に浮かんだのがこの言葉だった。

なにせこの作品、107分間という時間を一切感じさせないのだ。冒頭の不思議なワンシーンから始まる奇妙な入れ替わり生活。そして物語が急展開する中盤から2人の関係の真相が判明し、終盤からクライマックス、エンディングへと繋がるまでが、切れ目なく一気に流れていく。

作中の起承転結も絶妙なスピード感で進行しているのもありがたい。そのおかげで、SFチックなストーリー展開にも関わらず、置いていかれるような場面はなかった。おかげで観客側は安心して、その内容に没頭できる。

そしてこの作品の良さの1つとして「過不足がほぼない」という点も挙げられる。いや、過不足がないというよりも、不要と感じる部分はほぼ見当たらないのだ。世界設定からキャラクターに至るまで、「これは余計だったんじゃないだろうか」と思わせる部分がなかった。

先ほど少し言葉を濁したが、「ここはもっと語って欲しかった」という部分は確かにあった。それは瀧、三葉の「周囲との人間関係の葛藤や変化」といった部分が大きい。ただしそれも、作品全体のまとまりから言うと必ずしも必要だったかと言われれば、少し考えてしまう部分だ。

やはりこれらの部分は、語らずそのまま不足したままだったからこそのバランスたり得た気がする。むしろ、そうした不足を様々な妄想、もとい想像で「補完」したくなるのも、この作品の良さ故ではないだろうか。

そしてこの作品、ストーリーを通して真剣な部分が多いかと思いきや、笑いの要素も多く含んでいる。しかもそれが単なるストーリー中の緩衝材としてではなく、ちゃんと観客を笑わせに来ているから心憎い。その笑いの種類も、盛大に笑わせるものやジワリジワリと蓄積されるものまで様々だ。皆さんのお気に入りのシーンも、きっと見つかるはずだ。

これだけ数多くの人々が「観てよかった」と感じさせるだけの十分な要素が、この作品にはあった。まだ観ようかどうか悩んでいる方は、ぜひ一度騙されたと思って映画館に足を運んでみてはいかがだろうか。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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