「男臭くいこうぜ」ガイ・リッチーらしさ全開!『キング・アーサー』が最高に楽しい理由

中世のイギリスの伝説であり、騎士道物語である“アーサー王物語”。今まで幾度となく映画化され、もちろん映画にとどまらず漫画やアニメなど影響を与えた作品は数知れず。

世界中で語り継がれ、“戦う強い男”の代名詞であるキング・アーサーの誕生秘話をガイ・リッチーが“新感覚ソードアクション”として世に送り出した!

サブタイトルが削除されたり、元サッカー選手のデビッド・ベッカムが出演するなど公開前から注目を集めていた『キング・アーサー』。まさに“ソードアクション”“無双”という言葉がぴったり、ガイ・リッチーは古くから伝わるアーサー王物語を、その手腕で斬新な新しいエンターテイメントとして送り出してくれた。海外では評価が芳しくない今作だが、「ガイ・リッチーの、ガイ・リッチーによる、ガイ・リッチー節全開の」娯楽映画として楽しめる理由挙げていきたいと思う。 

上へ下へ、“下克上”カメラワーク

ガイ・リッチー監督作品といえば、その流れるようにスピーディなカメラワークが魅力の1つだ。この『キング・アーサー』も“ジェットコースターのようなスピード感”という言葉がぴったり!漫画のページをめくっているかのように次々と入れ替わる絵面や、時系列が少しだけずれた2シーンを交互に映し出していく斬新な見せ方。「無駄なところはちゃっちゃと省いて、テンポよくいきましょう」とガイ・リッチーが言っているのが想像つくほど突っ走っていくストーリーと映像に、私たちも思わず身を乗り出してしまうのだ。

そして何といってもこの『キング・アーサー』の映像は、“上下のカメラワーク”が多い。

「スラムのガキから王になれ!」そんなキャッチコピーが付けられている『キング・アーサー』。王の子供であるのにスラム街の売春宿で育ったアーサーが、聖剣エクスカリバーを手にとり下克上バトルを開始する。そんなアーサーを表現しているかのように、カメラも上から下に動く動く。空からのアングルや深い水の中まで潜ったり、スラム街の屋根をつたっての追跡劇、そしてジュード・ロウ演じる暴君ヴォーティガンが高く造り上げた“塔”…。アーサーだけではない。ヴォーティガンも民衆の上に上り詰めたかと思えば、地下深くまで潜っていくこともある。そんな物語、映像の上下運動がより映画に緩急をつけ、全体的に躍動感をもたらした。 

イギリスらしいブラックユーモアと、スタイリッシュな映像が大人気のガイ・リッチー監督作品。彼の手がけた映画で特に人気の高い作品といえば、1998年『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』や2000年『スナッチ』ではないだろうか。『ロック、ストック』を観て大感激したブラッド・ピットが、「ノーギャラでいいから『スナッチ』に出演したい」と申し出たという話は有名である。またガイ・リッチーはかのジェイソン・ステイサムを発掘した監督ということでも知られている。

愛すべきモブキャラ、大量生産

『ロック、ストック』も『スナッチ』もどんどん皆が大騒動に巻き込まれていく犯罪ドラマなのだが、とにかく登場人物が多いのだ。『スナッチ』など主要人物は13人!しかし、キャラクターがどんなにたくさんいてもガイ・リッチーの作品は決して“ごちゃごちゃして”見えないのである。1人1人クセが強くて、インパクト抜群。「キャラクター全員のスピンオフ作品を作ってほしい!」と思うぐらい、愛すべき個性豊かな登場人物ばかりなのだ。

© 2017 WARNER BROS. ENT. INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED AND RATPAC-DUNE ENT. LLC

© 2017 WARNER BROS. ENT. INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED AND RATPAC-DUNE ENT. LLC

今回の『キング・アーサー』も、そんな“ガイ・リッチーらしさ”を楽しめる。アーサーと暴君ヴォーティガンのキャラの立ちっぷりはもちろん、アーサーの仲間となっていく男たちやヴォーティガンに使える騎士たちなど、ほんの少しの登場回数でも忘れられないキャラクターばかりだ。やたらと個性が強いモブキャラを見つけるのも、「あのシーンのあの人、もっと出て欲しかったよね」と観終わったあとに語り合うのも映画の楽しみの1つ。「やっぱりベッカム、声高かったね」という感想と共に、『キング・アーサー』を観たあとはキャラクターたちについて盛り上がろう。

お祭り気分!クールなBGMに耳を澄ませて

ガイ・リッチー作品の魅力の1つは、イケてる音楽センスだ。『ロック、ストック』で使われているのはジェームス・ブラウン、ザ・ストゥージズ。『スナッチ』のキャラクター紹介の時に使われているKintの『DIAMOND』やテーマ曲のオアシスにテンションがあがった人は少なくないはずだ。様々なジャンルの音楽が絶妙な融合をみせ、スタイリッシュかつファンキーなガイ・リッチーの世界観をいっそう盛り上げている。音楽と映画には密接な関係があると、再確認させてくれるのだ。

『キング・アーサー』、今回も音楽の使い方が何とも絶妙。疾走感あふれる映像にぴったりな打楽器を使ったBGMには、よく耳を澄ますと人の息遣いが重ねられているのだ。まるでお祭りの音色のような太鼓の音、バイオリンの音、そのハーモニーが“お祭りっぽさ”を演出してくれている。驚くほどマッチしているアクションと音楽のハマり具合はひたすら爽快。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー : リミックス』のサントラを聴きすぎちゃった?そんな方はお次は『キング・アーサー』のサントラを普段のBGMにしてみてはいかがだろうか。

じっくり観たいところはゆっくりと。飛ばしていきたいところは早回し!“細かいところは気にしない”ガイ・リッチー精神が垣間見える『キング・アーサー』。突っ込みたくなるところも満載だが、ユーモアたっぷりの会話劇と全員憎めないキャラクターたち、漫画のようでいて流れるように進むその映像は“アーサー王物語”を斬新なエンターテインメントへと昇華させている。そのスタイリッシュな映像を観に、ジュード・ロウの暴君っぷりを確認しに、ぜひガイ・リッチーワールドへ踏み込んできてみては?

© 2017 WARNER BROS. ENT. INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED AND RATPAC-DUNE ENT. LLC

About the author

フリーライター(1995生まれ/マグル)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

ポップカルチャーは世界を変える

TwitterでTHE RIVERをフォローしよう!


こちらの記事もオススメ

JOIN THE DISCUSSION

※承認されたコメントのみ掲載されます。