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もはや別人!名作映画のミュージカル化『キンキーブーツ』ローラを演じる三浦春馬の凄さ

映画『進撃の巨人』では、クールでテンション低めのミカサとアルミンを従えて、正直エレンの体温の高さだけが異様に目立っていたりしたものだが、三浦春馬のこういった高密度の芝居は、大劇場のステージでは何にも勝る武器だ。緻密に解釈し、丁寧に構築し、全身を使って表現しきる”芝居”というものが、いかに高度なスキル(そして才能)の上に成り立っているのかを、あの若さでイヤというほど見せつけてくる三浦春馬。恐るべし。

三浦春馬の凄さ④【歌】

『キンキーブーツ』でのローラの楽曲は、とにかく難しい。シンディ・ローパーの書きおろしなので耳ざわりは良くポップな曲が多いのだが、低音から高音までを自在に操り、バラードからアップテンポまで多岐に渡る曲調を歌いこなさなければならない。しかも、あたかも軽々と。

例えば、いくらカラオケが上手でもミュージカル曲を歌いこなせるわけではない。まず、発声が違うからだ。腹式呼吸やビブラートなど、一朝一夕には身に着けられないあらゆるテクニックを地道に訓練する必要がある。実際、ミュージカルやクラシック声楽たたき上げの人に比べて、映像系の俳優などだと、声量の面や音程の面でハッキリと差がついてしまうことも多い日本のミュージカル。三浦春馬に感じていた唯一の不安は、この歌唱面にあった。

結果、驚いた。もちろん、超絶技巧をこなす手練れたちのように易々とはいかないものの、きちんとしたミュージカル唱法で丁寧に歌をこなしていたからだ。低めでよく響く声の裏に見える、想像を絶する歌いこみの跡。しかも、楽に流れることなく、学んだことを忠実に、誠実に体現しようとする姿勢。そしてなによりも、十分な声量。ミュージカル俳優として、立派に胸を張っていいレベルに達していた。ここまで仕上げるのは並大抵の努力ではなかっただろう。

『キンキーブーツ』は絶対に観るべし!

現在、東京の新国立劇場中劇場で上演中の『キンキーブーツ』は完売。大阪公演を経て、8月28日からは渋谷の東急シアターオーブで凱旋公演が行われる。非常に高い評判に、凱旋公演のチケットも飛ぶように売れているに違いないが、なんとしても『キンキーブーツ』はその目で観ることをおすすめしたい。

それくらい、『キンキーブーツ』の三浦春馬は凄い。間違いなくミュージカル界の伝説になるだろう。

※なお、10月には来日版の『キンキーブーツ』公演もあります。

ミュージカル『キンキーブーツ』公式サイト

Eyecatch Image:Screen shot from https://youtu.be/InvTvDPD65A

Writer

umisodachi
umisodachi

ホラー以外はなんでも観る分析好きです。元イベントプロデューサー(ミュージカル・美術展など)。

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