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(男が)見たいものを見せてくれる『ロスト・バケーション』こそ、今年一の納涼ムービーである!

メキシコの美しい海、押し寄せる波、青い空…。辛い思い出を忘れるため、バケーションにやってきた医学生、ナンシー(ブレイク・ライヴリー)は穴場と言われているスポットで思い切りサーフィンを楽しむはずだったのだが…。しかし、巨大ホホジロザメの急襲により、沖の岩場から動けない状態にされてしまう。負った傷はどんどん悪化し、照りつける太陽が体力を奪っていく。目の前で次々とサメの犠牲になっていく人々をナンシーは傍観することしかできない。窮地に立たされた彼女に反撃のチャンスはあるのだろうか?

『ロスト・バケーション』はシチュエーション・ドラマとして非常に正しい作りがなされた一本である。映画の評価は純粋な完成度とは別に、マーケティング的な視点からもなされてしかるべきだが、本作はまさに、限定された製作環境での創意工夫に好感が持てる良き事例だといえよう。

まず、「夏の映画」と来て、すでにヒットした要素からのみ引用する潔さやよし。それをパクリだの、独創性の欠如だのという向きもあるだろうが、ダン・ケネディ大先生もおっしゃるように、当たる保証のない斬新さに賭けるよりも、合法の範疇で既存のヒット商品をパクるほうが、興行師としては正しい形なのである。「サーフィン」、「人食いサメ」、「POV」サマームービーの定番となった要素が乱れ撃ちされる展開には退屈のしようがない。

次に、映画の大半がブレイク・ライヴリーの一人芝居に支えられている本作で、ほとんどのシーンで彼女のビキニ姿を堪能できるという嬉しさ。サメに襲われて岩場に乗り上げようが、深い傷口を応急処置しようが、どんな悲惨な目にあおうと気になるのはその美しい肢体なのだ。撮影期間が短いという理由で大量生産される、少人数キャストによるシチュエーションものの大半が、俳優の魅力のなさで失敗しているのに対し、本作では(男性にとって)見たいものしか見せないという信念を感じる。絶対肯定である。

そして、意外にパニック映画のお約束を守っているという点も評価したい。それは、ゲスい男は必ずしっぺ返しを食うという法則である。金に汚いやつ、女ったらしのやつがきっちりと制裁を受けるところに、妙な道徳観を感じてしまった。

そんな『ロスト・バケーション』、画面いっぱいに広がる海と、ビキニ美女、サメの恐怖、三重の意味で涼しさを感じてもらえる納涼ムービーとして、おすすめしたい。

Writer

石塚 就一
石塚 就一就一 石塚

京都在住、農業兼映画ライター。他、映画芸術誌、SPOTTED701誌などで執筆経験アリ。京都で映画のイベントに関わりつつ、執筆業と京野菜作りに勤しんでいます。

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