【我が偏愛のSWクリーチャー8】元は暗黒卿?悪の香りが漂うジェダイ、キット・フィストー

皆様、「スタートレック/BEYOND」、ご覧になりましたか?スターウォーズの話題の冒頭にスタートレックの話を持ち出すあたり、自分でもなかなか勇気があるというか、節操がないなと思いますが、スタートレック門外漢の筆者でも、予告編見ると、大きな宇宙船出てくるし、銃撃戦もあるみたいだし(トレッキーのみなさん、本当にごめんなさい)、そして先日THE RIVERの記事でも特集しましたが、今回は何より「ジェイラ」という魅力的なデザインの異星人が登場します。公開前から、これはぜひとも劇場で見なくてはと、意気込んでいたわけです(実際、今作はかなりの傑作でした)。

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このシリーズでは、タイトルでお判りの通り、筆者の個人的なクリーチャーに対する偏愛を語ってきましたが、元より、偏愛というものは説明するのが難しい、「理由はよくわらないが、なんだかとても好きなこと」だという認識でして、この「ジェイラ」のデザインは完全にそれにあたります。筆者だけかもしれませんが、この「ジェイラ」のコンセプトアートを初めて目にした際に、「あ、キット・フィストーっぽい。大好き。」と思ってしまったわけです。キット・フィストー、読者の皆様には説明不要かと存じますが、スターウォーズプリクエル「エピソード2/クローンの攻撃」「エピソード3/シスの復讐」、及びTVシリーズ「クローンウォーズ」に登場したジェダイマスターの一人、惑星グリー・アンセルム出身のノートランという種族の男性です。黄緑色の肌、後頭部に生えた複数の触手、大きな黒い両眼が容姿がインパクト大でした。

というわけで今回は、シリーズ初、プリクエルから、キット・フィストーを取り上げてみます。

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そもそも筆者のようなスターウォーズオリジナルトリロジー直撃世代にとって、プリクエルに関しては言いたいことが山ほどあります。しかし、オリジナルトリロジーが公開されてから、幾星霜の月日が流れ、現在では、もうSWファンと一口に言っても、生まれたときには既にプリクエルや「特別編」が存在していたという層が占める割合が年々大きくなってきており、いつまでも過ぎし日に拘っていると「老害」扱いされかねません。そもそも小生、長いものには積極的に巻かれていくというライフスタイルを信条としていますので、最近ではプリクエルの「良かったところ」を積極的にお迎えに行く鑑賞法をとることにしています。
で、プリクエルの美点の一つに、オリジナルトリロジーには登場しなかった(死んでいる設定なので当然ですが)、数々のジェダイ騎士たちのデザインが魅力的という点が真っ先に挙げられます。アイラ・セキュラ、プロ・クーン、セイシー・ティン、コールマン・トレバー、オポー・ランシセスと思いつくままに書いても、次々浮かんでくるジェダイの異星人クリーチャーたち。その中でも筆者の一番のお気に入りが、キット・フィストーというわけです。

キット・フィストーとは

このキット・フィストーというキャラクター、劇中活躍したとは言い難い人物で、ちゃんとした出番も数えるほどしかなく、EP3終盤、メイス・ウィンドウと共にパルパティーン上院議員逮捕に向かった三人のジェダイのうちの一人です。

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追い詰められ本性を現し、不意打ちを仕掛けて来たパルパティーンと数合撃ち合いますが(ほかの二人は瞬殺)、数秒しかもたずあえなくやられてしまう、というちょっとかわいそうなキャラです。故に筆者がこのキャラクターに愛着を覚える理由のほぼ100%は、そのデザインによるところが大きいのですが、このキャラを魅力的だと感じているファンは筆者に限らず少なくないようで、先ほど列挙したプリクエルのみに登場したジェダイ騎士の中で、ほぼ唯一人、FXライトセイバーが玩具として製品化されたり(日本未発売)、コスプレ用マスクがルービーズから発売されたりしています。何より「クローンウォーズ」で、水中戦やらグリーヴァスとのタイマンやら、やたらおいしい活躍シーンが補完されたのも、人気を受けてのことと言えるかもしれません。

キット・フィストー誕生の裏話

さて、このキット・フィストーのデザイン。何がそんなに魅力的なのでしょうか。
「エピソード1/ファントム・メナス」の制作段階においてジョージ・ルーカスは、多種多様なジェダイ騎士たちの存在をもって、スターウォーズの広大な世界観を表現したいと考えていました。その意向を受けてアート部門のクリエイターたちは、無数のデザイン、コンセプトアートを創りだします。前段で列挙したようなプリクエルに登場するジェダイのデザインの多くがこうして産まれ、ジェダイのデザインとして採用されなかったアイデアは、一部ファントム・メナスのポッドレーサーに転用されました。
ところが、キット・フィストーのデザインはこうした流れで生まれたわけではなかったのです。ファントム・メナスでのダース・モールの死によって、「エピソード2/クローンの攻撃」のための新しいシス卿のデザインが必要になりました。様々なアイデアの試行錯誤の初期段階で、湾曲したライトセイバーを持ち、ゆったりめの黒いバギーパンツを履いた、ドレッドヘアで白い顔の男性がデザインされました。

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※これはスターウォーズではなく「マトリックス リローデッド」に登場したドレッド双子ですが、参考イメージとして。 http://manilovefilms.com/wp-content/uploads/2012/03/GhostTwins.jpg

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コンセプトアーティスト、ダーモット・パワーはそこで満足せずにさらにデザインを弄りまわし、最終的にこのシス卿のデザインは、女性になり、ヘアスタイルもドレッドからスキンヘッドになります。しかし、この女性シスのデザインは、クリストファー・リー(ドゥークー伯爵)が悪役としてキャスティングされた時点で放棄されてしまいました。まあ、デザイン部門は辛いよ、というお話です。(お気づきの通り、最終段階の女性シスのデザインは後にアサージ・ヴェントレスとして再利用されました。)

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この経緯をしのびなく思ったのか、ジョージ・ルーカスはダーモット・パワーに、この廃案にせざるを得なかったデザイン、その初期段階のドレッドヘアの男性を、ジェダイの一人にリデザインできないかと持ち掛けます。ジェダイなので表情はやや柔和に、そして肌は緑色という設定が追加されました。
こうして悪の枢軸シスとして誕生するはずだったデザインは、反転して正義のジェダイの一人、キット・フィストーとして生まれ変わったわけです。キット・フィストーが、その役どころの割に、モブキャラっぽくないカリスマ性をビンビン出しているのは、もともとは、こうして物語の悪者側の重要キャラとしてデザインされたという背景が関係あるのかもしれませんね。

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余談ですが、このキット・フィストーをデザインしたダーモット・パワーさん、近日公開ハリポタ最新作の「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」で、コンセプトアートを手掛けておられます。プリクエルの世界観を彷彿とさせるようなデザインがスクリーンでまた見ることができるかもしれませんね。

About the author

1977年生まれ。週刊少年ジャンプ脳のクリーチャー愛好家。玩具コレクター。エンドレスダイエッター。「意識低い系」の文章を信条としています。

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