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『ナイブズ・アウト』ライアン・ジョンソン、続編製作は『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』よりも「怖かった」

ライアン・ジョンソン
Photo by Dick Thomas Johnson https://www.flickr.com/photos/31029865@N06/25070162628/

映画監督ライアン・ジョンソンは、ハリウッドきってのチャレンジングなフィルムメーカーといっていい。

大きな注目を浴びた『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)は、ジョージ・ルーカスが生んだ『スター・ウォーズ』の“神話”に独自の切り口で挑み、新旧ファンを巻き込んで賛否両論を巻き起こした一作。続く『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(2019)は、アガサ・クリスティ作品に影響を受けたオリジナルの推理ミステリー。最新作『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』は、名探偵ブノワ・ブランの新たな事件を描く。

言ってみれば、『最後のジェダイ』と『グラス・オニオン』はともにシリーズの“続編映画”。しかし、ライアンはこの2作に異なるアプローチで取り組んだようだ。米Los Angeles Timesでは、なんと「『スター・ウォーズ』よりも今回(『グラス・オニオン』)のほうがちょっと怖かった」とも言っているのである。

「(『スター・ウォーズ』と『ナイブズ・アウト』の続編は)まったく別物です。いくつかの理由があって、まず『最後のジェダイ』は正統な続編でした。僕が執筆していない映画の続きを描いていますから。『グラス・オニオン』は厳密には続編でさえなくて、新しい小説のようなもの。同じ探偵の新たな事件です。どちらかと言えば、『スター・ウォーズ』より今回のほうがちょっと怖かったですね。」

もともと推理映画はライアンの大好きなジャンルだったのだが、“原作なし、オリジナルの名探偵が主人公”とあって、前作の製作中は「喜んでもらえるのかどうかもさっぱりわからなかった」と言う。しかし前作『ナイブズ・アウト』に対する批評家・観客の評価はきわめて高く、『最後のジェダイ』よりも広い観客層に受け入れられた感さえある。それならばむしろ、その続編には安心して取り組めそうなものだが……。

「今回の場合、(『ナイブズ・アウト』は)自分のものでなくなったというか、どうやって作ったのかを忘れたような部分がありました。だから怖かったんです。脚本を書くため机に向かうとき、これほど緊張したことはなかった。『ナイブズ・アウト』の計画には10年かかりましたが、今回はゼロからのスタートのように感じたんです。」

いうなれば、『スター・ウォーズ』は複数のクリエイターによって物語のバトンを回していくイメージだが、『ナイブズ・アウト』は自分の力で過去の自分を超えなければならない。前作がヒットし、高い評価も受けただけに、それを自ら乗り越えるプレッシャーもある。

ちなみに前作を執筆していた当時は、ブノワ・ブラン役をダニエル・クレイグが演じることもまだ決まっていなかったそう。しかし続編となればダニエルの復帰は前提になるわけで、その緊張感ものしかかったことだろう。しかし、あえてライアンは「前作を数え切れないほど観ているぶん、頭の中にいるブノワの真似事はしたくない」と考え、キャラクターをゼロから書き始めるような努力をもって執筆に臨んだという。

『スター・ウォーズ』の神話解体に挑んだライアン・ジョンソンは、自ら構築した『ナイブズ・アウト』の定型をいかに打ち崩したのか? その全貌はもうしばらく先のお楽しみだ。

Netflix映画『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』は2022年12月23日(金)より独占配信。

Source: Los Angeles Times

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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