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『キングコング:髑髏島の巨神』ゴジラ登場の計画あった、前作『GODZILLA ゴジラ』との繋がりが薄い理由

『GODZILLA ゴジラ』(2014)に続く「モンスターバース」第2作『キングコング:髑髏島の巨神』(2017)は、意外なほどユニバース作品らしからぬ一本だ。『ゴジラ VS コング(原題)』での直接対決を控えながら、本作に『ゴジラ』との直接的な繋がりはほぼ存在しない。しかし製作段階では、本作にもゴジラがそのまま登場する計画があったという。ジョーダン=ヴォート・ロバーツ監督は、幻の「ゴジラ登場シーン」について英Empireにて語っている。

「コンラッド(トム・ヒドルストン)とウィーバー(ブリー・ラーソン)、それからブルックス(コリー・ホーキンス)が北極海でボートに乗っている場面がありました。コンラッドたちが“何を待ってるんだ?”と聞くと、ブルックスは“じっとして、待ってて”と答える。その時、ゴジラが氷を突き破って現れるんです。」

このアイデアが見送られたのは、『GODZILLA ゴジラ』の内容と矛盾が生じてしまうため。同作では、“核実験以来、ゴジラは姿を見せていない”という説明がなされているのだ。本作にゴジラが登場すれば、1970年代にも人類は怪獣王を目撃していたことになってしまう。断念した当時の心境について、ロバーツ監督は「ちょっとショックでした、とても良いシーンだと思っていたので」と振り返った。

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もっともロバーツ監督は、実は『ゴジラ』とのリンクを多数用意することには消極的だったことを認めてもいる。理由のひとつは、そもそもキングコングが映画史において巨大な存在である以上、この映画もまた独立させるべきだと考えたこと。また、本作のコングが単独で愛されなければ『ゴジラ VS コング』にも興味を持ってもらえないと考えたこと、少なくない観客が『GODZILLA ゴジラ』を観ていないであろう(あるいは本作と『ゴジラ』の関係を知らないであろう)ことも大きな理由だった。そして自らの物語にこだわるためにも、監督は『ゴジラ』とのリンクを回避したのだ。

決断の背景には、製作を担当したワーナー・ブラザース&レジェンダリー・ピクチャーズの存在もあった。ロバーツ監督は、もしスタジオ側が求めれば『ゴジラ』とのリンクはもっと増えていただろうと述べている。しかし「ワーナーとレジェンダリーが、“この作品でそういうことをするのは得策じゃない”と言ってくれた」というのだ。モンスターバースの将来を見据えての“土台づくり”は行われているものの、再び本人の言葉を借りれば「映画と無関係の要素に10分費やしたりはしていない」のである。

結果的に、『ゴジラ』シリーズやモンスターバース全体との繋がりが最も強いのはラストシーン(ポストクレジットシーン)となった。ここで多くは語らないが、この場面には『ゴジラ:キング・オブ・モンスターズ』(2019)に繋がる要素が登場するのだ。ところが、スタジオ側は「いくつかの理由を懸念して」このシーンを削除することさえ検討していたそう。『ゴジラ』とのリンクに消極的だった監督も、これには「削除されなくて本当に良かった。あれはみなさんが観たいものだと思うので」と話している。

Source: Empire, Cinema Blend(1, 2

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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