『レオン』マチルダのその後を描く幻の続編が存在した ─ なぜお蔵入りに?

リュック・ベッソン監督による名作『レオン』(1994)が、2023年10月27日より期間限定のリバイバル上映を迎える。殺し屋の男と孤独な少女の絆を描いた物語では衝撃の結末が訪れるが、実はその後を描く続編企画が存在していた。
しかし、企画はとある複雑な理由により、日の目を見ることがないままお蔵入りとなってしまった。90年代後半にリュック・ベッソンと企画を主導していたオリヴィエ・メガトン監督が、2011年に米Indiewireに事情を明かしていた。
ベッソンが構想していた続編は、ナタリー・ポートマンが演じた少女マチルダのその後を描くもの。『Mathilda』というタイトルまで付けられていた。ベッソンは続編企画を友人のメガトンに持ち込んだが、物語では大人になったマチルダを登場させようとしていた為、ポートマンの成長を待たざるをえなかった。

その間、ベッソンは自身の製作会社EuropaCorpを創設し、プロデュースにも力を入れていく。ここで発生したのが、作品の権利問題だ。『レオン』の権利はフランスの製作会社Gaumontが保持していたため、ベッソンは自身の会社での製作が許されなかった。
メガトンは「私たちは『Mathilda』、つまりは『レオン』の続編を作ろうと決めたのですが、いろんなことが前に進んでしまい、できなかったんです」と当時を振り返る。「ナタリーのことや、ゴーモンのこともあって。リュックは何度も試みていましたよ」。
『レオン』幻の続編の詳細が2011年に語られたのには、しっかりと理由がある。『Mathilda』のストーリーを下敷にして作られたアクション映画『コロンビアーナ』が公開されたのだ。メガトンが監督、ベッソンは共同脚本・製作を担当した。
ゾーイ・サルダナが主演を務めた同作は、マフィアに両親を殺された少女が、15年後に殺し屋となって復讐を果たそうとしていく物語。『Mathilda』をそのまま受け継いだようなあらすじだが、メガトンによればベッソンは『コロンビアーナ』を全くの別物として製作したという。「脚本を書くと、マチルダはこうしていた、ああしていたと常に心の中で尋ねてしまいます。だから彼は全てを忘れなければいけませんでした。なぜなら新しい物語だからです」。
映画公開後、批評家は手厳しい評価を与えた。米レビューサイトRotten Tomatoesでは現時点までに、2011年の翌年以降に掲載された20件を含めた計106件の批評家レビューが投稿されているが、そのスコアは27%となっている。
▼ 『レオン』の記事
Source: Indiewire,Rotten Tomatoes