実写版『リトル・マーメイド』挿入曲の歌詞を一部変更、現代向けにアップデート ─ 名曲「キス・ザ・ガール」など

不朽の名作アニメを新たに蘇らせる、ディズニーの実写版映画『リトル・マーメイド』で、現代の風潮に合わせて挿入曲の歌詞が一部変更されていることがわかった。オリジナル版に続いて音楽を担当したアラン・メンケンが、米Vanity Fairのインタビューにて語った。
歌詞が変更された例として挙げられているのは、セバスチャンが歌う名曲「キス・ザ・ガール(Kiss the Girl)」や、アースラが歌う「哀れな人々(Poor Unfortunate Souls)」。メンケンは変更の理由をこのように述べている。
「『キス・ザ・ガール』には、いくつか歌詞の変更があります。(エリック王子が)いかなる形であれ、(アリエルに)何かを強要するということに人々が非常に敏感になっているからです。また『哀れな人々』では、アースラがアリエルに声を諦めるよう操っているのは明らかなのですが、若い女性に“余計なことを言ってはいけない”と思わせるような歌詞についても修正を加えています。」
『リトル・マーメイド』では、人間の世界に憧れるアリエルが魔女アースラと取り引きをし、美しい声と引き換えに両脚を得て地上の世界へ行く。オリジナル版で「キス・ザ・ガール」が使用されているシーンでは、周りにいる動物や昆虫に煽られて、エリック王子が声を出せないアリエルにキスをする展開となる。歌詞には「Go on and the kiss the girl(さあ、彼女にキスをして)」「She won’t say a word, until you kiss the girl(彼女は言葉を発しない、君がキスするまでは)」という箇所があり、女性の合意を得ないまま男性がキスを強要するものと解釈され、該当の箇所が変更されたようだ。
アニメ映画が公開された1989年から34年もの時が経ち、世界も社会も大きく変化を遂げていることを考えると、歌詞のアップデートは必然的だろう。アリエル役で主演するハリー・ベイリーも、「本作では、男子のために海を離れたいという彼女の描かれ方を確実に変えています」と語り、アリエルの目的や自由、人生もテーマになっているとコメントしていた。
なおメンケンによると、現代に合わせたアップデートは、実写版のために制作された新曲にも反映されているとのこと。ロブ・マーシャル監督と話し合いを重ねた上で、エリック王子の曲「Wild Unchartered Waters」をはじめとする4曲を『イン・ザ・ハイツ』(2020)などのリン=マニュエル・ミランダと共同で作曲したと明かしている。実写版を観賞する前に、オリジナル版の歌詞や楽曲の使われ方を確かめておくのもよいかもしれない。
映画『リトル・マーメイド』は2023年6月9日(金)日本公開。
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Source: Vanity Fair