【もう一度『LOGAN/ローガン』を観るために②】残酷・壮絶・圧巻!VFXシーンの裏側にメイキング映像&製作者の証言で迫る

THE RIVERが映画『LOGAN/ローガン』をよりディープに楽しむためにお届けする、「もう一度『LOGAN/ローガン』を観るために」。第二回となる今回は、全編を貫く激しい暴力描写をはじめ、世界観を陰になり日向になり支えるビジュアル・エフェクツ(VFX)の裏側に迫っていきたい。
今回紹介するのは、『LOGAN/ローガン』のVFXを担当した複数のCGスタジオのうち、ジェームズ・マンゴールド監督による前作『ウルヴァリン: SAMURAI』のVFXも手がけたライジング・サン・ピクチャーズ。本編では激しい暴力描写に溢れたアクション・シーンなどに携わったという。
【注意】
この記事には、映画『LOGAN/ローガン』のネタバレが含まれています。
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激しい暴力描写が誕生するまで
ライジング・サン・ピクチャーズより『LOGAN/ローガン』のVFXスーパーバイザーに起用されたのは、『ウルヴァリン:SAMURAI』にも参加したデニス・ジョーンズ氏だ。同社が担当するVFXシーンのため、チームに招集されたスタッフは100人以上。実に8ヶ月もの時間をかけて、VFXチームは約230のショットに手を加えていったという。
前作『ウルヴァリン: SAMURAI』と『LOGAN/ローガン』が大きく異なるのは、そもそも本作が“R指定のアクション映画”として構想されたことだ。しかしジョーンズ氏は、R指定ゆえの自由さをこう語っている。
「初めからR指定だと決まっていたので、抑制したスタイルながら(前作とは)別のダイナミックさを見せることができました。『ウルヴァリン: SAMURAI』では血を消去したり爪の貫通を修正しなければならないショットがあったんです。そういう制約なく、キャラクターの戦いを描けるのは素晴らしかったですね」
— Logan (@WolverineMovie) 2017年5月31日
『LOGAN/ローガン』に携わるにあたって、本作のVFXを統括するチャズ・ジャレット氏とジョーンズ氏が初めて面会した際、彼は脚本や予告編などの素材にも直接触れることができたという。
「脚本と予告編、それから早いうちにチャズと話したことは、映画のスタイルを理解すること、(求められる)VFXの美学を具現化することに役立ったと思います。それに、作業や製作プロセスはすごくクリアで手堅いものでした。『SAMURAI』でジェームズ(監督)とは仕事をしていましたから、監督としての作風はわかっていたんです」
ところが実際にVFXの作業に入ると、そこには恐るべき作業量が待っていたようだ。
「(ウルヴァリンの)爪が持つメカニカルな機能や、それらが俳優たちや身体のパーツとどう関係しているか、という点での作業が大量にあったんです。そこでクリエイティブにアクションを作るため、かなり気ままにやらせてもらいました」
ではジョーンズ氏率いるライジング・サン・ピクチャーズは、『LOGAN/ローガン』のVFXシーンをどのように生み出していったのか……。ここで、彼らの担当したVFXシーンのメイキング映像をご覧いただきたい。アクションに限らず、「ここもCGなの?」というポイントもたくさん含まれているので、ぜひとも隅々までチェックしてほしい(なお本編同様、残酷な描写が大量に含まれるので注意されたい)。
印象に残るアクションシーン
ジョーンズ氏は『LOGAN/ローガン』で担当したVFXシーンのうち、いくつかのシーンを特に印象深いものとして挙げている。その中のひとつが、上のメイキング映像にもたっぷりと収録されている映画冒頭の暴漢との格闘シーンだ。
「かつてないローガンを見せることで、映画の冒頭から観客をつかむシークエンスです。[中略]爪や血、銃口の閃光、ショットガン付きの切断される腕をCGで作らねばなりませんでした」
「(俳優の)動きと爪を合成する以上の仕事でした。はっきりと爪が貫通する瞬間では、ローガンの腕や拳、爪を消去して作り直し、置き換えなければならなかったんです。ショットの構成やタイミングにうまく合わせるためにね」
またジョーンズ氏が「劇中で最大のチャレンジだった」と語るのが、映画中盤の見せ場となる、チャールズ・エグゼビア/プロフェッサーX(パトリック・スチュワート)が自らの能力を暴走させるシーンである。
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