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【特集】『LOGAN/ローガン』の原案は『オールドマン・ローガン』だけではない―もうひとつの原案コミックを読むために

ヒュー・ジャックマンがウルヴァリンを演じる最後の作品、『LOGAN/ローガン』が本日2017年6月1日に公開された。本作の原案・原作とされているのは、マーク・ミラー原作、スティーブ・マクニーブン作画によるコミック『ウルヴァリン:オールドマン・ローガン』である。

ヒーローが滅んだ未来、ヴィランが支配するアメリカで、年老いたウルヴァリン=ローガンは過去を捨ててカリフォルニアにある村で生活していた。そんなある日、旧知のホークアイがローガンのもとを訪ねてくる。家賃を払うことすらままならない生活を送るローガンに、ホークアイは報酬と引き換えに“とある荷物”を運んでほしいと頼むのだった。家族のためにその仕事を引き受けるローガンだったが、ホークアイとの旅の途中、その過去がゆっくりと明かされてゆく……。

『ウルヴァリン:オールドマン・ローガン』のストーリーはこのようにして幕を開けるが、あくまで本作は“原案コミック”であり、映画で踏襲されている内容は全体のごくわずかだ。詳細は別記事「邦訳アメコミ推薦図書・マーベル編②】『ローガン』鑑賞前に読んでおきたい『ウルヴァリン:オールドマン・ローガン』」に詳しいので、ぜひそちらをお読みいただきたい。

したがって、というべきだろうか、やはり、というべきだろうか。『LOGAN/ローガン』の原案となっているのは、この『ウルヴァリン:オールドマン・ローガン』だけではなかった。米国で発売されたばかりの『LOGAN/ローガン』Blu-ray&DVDに収録されているメイキング映像では、ジェームズ・マンゴールド監督が“もうひとつの原案コミック”について語っているのである。

『LOGAN/ローガン』もうひとつの原案コミック

映像の中で、マンゴールド監督はこのように話している。

「物語の面では、『オールドマン・ローガン』よりもクレッグ・カイルの『X-23』シリーズを取り入れました。『オールドマン・ローガン』からの一番強い影響は、その設定と見た目なんです。ストーリーには(20世紀フォックスが)権利すら持たないキャラクターも関わっていますし、それに非常に悲しい物語でしょう。私はハートのある映画を作りたいと思っていました。アクション映画は今でも、スペクタクルではなくキャラクターをベースにするものです」

ここで監督が言及している“クレッグ・カイルの『X-23』シリーズ”とは、2005年刊行の『X-23: イノセンス・ロスト(X-23: Innocence Lost)』と、その続編である2007年刊行の『X-23: ターゲットX(X-23: Target X)』のことである。シナリオを手がけたのはクレッグ・カイルクリストファー・ヨストの2人だ(ちなみに、ヨストはのちに映画『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』『マイティ・ソー バトルロイヤル』の脚本を執筆する人物である)。

『X-23: イノセンス・ロスト』『X-23: ターゲットX』は、ともにウルヴァリンの女性型クローンとして誕生したX-23の“オリジン・ストーリー”だ。誕生の秘密が明かされる『イノセンス・ロスト』と、そこでは描かれなかった出来事を回想する『ターゲットX』という構成で、内容もきちんと繋がったひとつのストーリーなのである。タイトルは異なるが、いわば「前編」「後編」として理解すればいいだろう。

このように『LOGAN/ローガン』は、大きなインスピレーションを『ウルヴァリン:オールドマン・ローガン』から得た上で、ストーリーを『X-23』シリーズから着想した映画なのだ。その源をたどるには、『オールドマン・ローガン』だけでは足りないのである……。

『X-23』シリーズを読むために

しかし『X-23: イノセンス・ロスト』『X-23: ターゲットX』は、残念ながら現時点で邦訳版が出版されていない2017年6月1日現在)。『LOGAN/ローガン』をきっかけに話題となれば邦訳される可能性もないとはいえないが、ひとまず日本語で読むことはできない状況だ。したがって、読みたければなんとか英語でがんばるしかない

『LOGAN/ローガン』の熱もさめやらぬ今、すぐに『X-23』を読むには大きく分けて3つの方法がある。ひとつはAmazon.co.jpでKindle版を購入することだ。どちらも1,321円(2017年6月1日時点)と比較的安価な上、ポイント還元もついてくる。

もうひとつは、コミック専門サイトcomiXology」(英語)で電子書籍を購入することだ。このサイトではそれぞれのシリーズを各話ごとに購入できるほか、『イノセンス・ロスト』『ターゲットX』それぞれにまとまった形式でも購入することができる。ちなみに月額制で読み放題のサービス「comiXology Unlimited」もあるが、今回紹介している『X-23』の2作品は読み放題に対応していないので注意してほしい。なおApple StoreGoogle Playに専用アプリがあるので、そちらもご確認いただきたい。

そして最後はマーベルの公式サイト(英語)で電子書籍を購入することである。こちらも各話ごと、シリーズごとに購入できるほか、月額9.99ドルの読み放題サービス「Marvel Unlimited」でも読むことができるので、買い方・読み方は必要に応じてご選択いただきたい。こちらもApple StoreGoogle Playに専用アプリがある(Unlimitedは単独で専用アプリが用意されている)。


コミック『X-23: イノセンス・ロスト』『X-23: ターゲットX』を読んだ後、あなたはきっと『LOGAN/ローガン』をもう一度観たくなることだろう。読んで、もう一度観て、また読んで……と繰り返しているうちに抜け出せなくなる、それがコミック映画のもっとも恐ろしいところだ。

ちなみに『ウルヴァリン:オールドマン・ローガン』も上記の各サイトで英語版の電子書籍を購入することができる(comiXology、マーベルともに読み放題サービスを除く)ので、もし原語版に興味を持たれたらこの機会にぜひお試しいただきたい。とはいえ邦訳版を手元に置いておき、そのアートワークを紙でじっくり味わうのも捨てがたい体験だ。いっそのこと両方どうぞ

映画『LOGAN/ローガン』は現在公開中

Sources: https://www.inverse.com/article/31963-logan-james-mangold-exclusive-blu-ray-x-23-old-man-logan-comic-adaptation
http://comicbookdb.com/creator.php?ID=2677
Eyecatch Image: https://www.amazon.co.jp/X-23-Innocence-Lost-Craig-Kyle-ebook/dp/B00AAJR4DM/
https://www.amazon.co.jp/X-23-Target-Graphic-Novel-Pb-ebook/dp/B00DP1E2GO/
https://www.amazon.co.jp/Wolverine-Old-Man-Logan-2003-2009-ebook/dp/B00AAJR45A/

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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