【ネタバレ】『あの夏のルカ』別エンディング ─ 怪物クラーケン&3人目の少年の存在

ディズニー&ピクサー最新作『あの夏のルカ』が、ディズニープラス(Disney+)で配信開始となった。『ソウルフル・ワールド』(2020)に続く本作では、イタリアの港町を舞台に少年ふたりの友情物語が描かれる。シー・モンスターというピクサーワールドの新たな生き物を紹介していきながら展開していく本作では、様々な感情を呼び起こすエンディングとなった。しかし、監督を務めたエンリコ・カサローサによれば、採用されなかった別のエンディングが存在していたという。
この記事には、『あの夏のルカ』のネタバレが含まれています。

主人公はふたりの少年、ルカとアルベルト。シー・モンスターであることを隠しながら、“海の上”に繰り出したふたりは、人間が住む港町ポルトロッソに忍び込む。自由な生活を手に入れるために、憧れの乗り物ベスパを手に入れようと奔走するふたりは、毎年夏に開催されているトライアスロン大会で優勝して、その賞金でベスパを手に入れる計画を立てたのだった。
しかし、ポルトロッソの町をマフィアのボスよろしく牛耳る少年エルコレが、ルカとアルベルトの前に立ちはだかる。懸賞金目当てにシー・モンスターを捕まえようとするエルコレに苦しめられながらも、なんとか大会出場の切符を掴んだルカだが、途中アルベルトとケンカしてしまい、一人で参加することに。大会も大詰め、トップを走るルカに不運が訪れ、雨が降り出してしまう。しかし最後には、ピンチに陥ったルカの元に大きな傘を持ったアルベルトが駆けつけ、見事ふたりは優勝することができた。
ずっと素性を隠していたルカとアルベルトも、最後にはシー・モンスターの姿でポルトロッソを疾走した。しかし、カサローサ監督は「私たちが考えたエンディングではありませんでした」と米/Filmに話す。「それがとても重要な鍵でした」と続ける監督は、以下のように当初の構想を明かしている。
「クラーケンが出てくる大きなエンディングがあったんです。不思議にもアルベルトがクラーケンに変身してしまって、ルカが彼を守ろうとする。けど、私たちは今作で子どものような映画の世界を伝えたいということに気づいたんです。なので、2つの派閥だったり、互いにいがみ合っている2つの世界を描くようなモンスター映画のようなエンディング、『ロミオとジュリエット』みたいな物語のバージョンは、私たちがどんどん魅了されていったものには上手くハマらなかったんです。」
クラーケンといえば、『タイタンの戦い』(2010)や『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズに出てくる怪物の姿が思い浮かぶ。クラーケンにアルベルトが変身してしまったら、意地悪をし続けるエルコレも全く歯が立たなさそうだが、監督はアルベルトがいかにして変身し、その後の展開がどのようなものだったのかについては明かしていない。
先に、当初のアイデアが採用されなかったことが“重要だった”と明かしたカサローサ監督。どうやらその真意は、あくまでふたりの少年の友情に焦点を絞ることにあったようだ。カサローサ監督は、クラーケンのほかにも、“シシオ”というキャラクターが存在していたことを明かしている。
「ルカとアルベルトのほかに、別のシー・モンスターのこどもがいたんです。彼の名前はシシオといって。結局、愚か者のエルコレにリキャストされましたが。彼ら3人はさらに大きな冒険に出ることになっていたんです。完全な人間になるための。魔法のようなものもあったんですが、友情を描くことに集中しないといけないことに気づいたんです。3人目をなくして、ルカとアルベルトのふたりをメインに置く。すると、それこそ私たちが本当に魅了されるものなんだということがわかりました。」
『あの夏のルカ』は、ディズニープラスで配信中。
Source: /Film