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『MEG ザ・モンスターズ2』にゴジラ映画の影響アリ ─ 1作目の犬ピピンも再登場へ【監督インタビュー】

MEG ザ・モンスターズ2
(C) 2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

『JAWS/ジョーズ』を超えて海洋パニック映画史上最高の興行収入を記録した2018年のヒット作『MEG ザ・モンスター』待望の続編、『MEG ザ・モンスターズ2』が、いよいよ2023年8月25日より日本公開となる。

超巨大ザメ、MEGことメガロドンとジェイソン・ステイサムが死闘を繰り広げるエンタメ超大作。続編では新たにベン・ウィートリーがメガホンを取り、ド迫力のアトラクション体験をパワーアップさせた。

THE RIVERでは、ウィートリー監督に一対一で先取りロングインタビューを敢行。『ゴジラ』からの影響や、1作目との意外なつながりを存分に語っていただいた。

ウィートリー監督は、ホラー映画『キル・リスト』(2011/日本劇場未公開)でロンドン映画批評家協会賞2部門ノミネート、英国インディペンデント映画賞6部門ノミネートを果たし注目を集めルト、過激なブラック・コメディ『サイトシアーズ 殺人者のための英国観光ガイド』(2012)がエンパイア賞 英国作品賞受賞。トム・ヒドルストンを主演に迎えたスリラー映画『ハイ・ライズ』(2015)は第40回トロント国際映画祭にて上映されるなど、ホラー、スリラーの注目作を意欲的に手掛けてきた逸材。「人を怖がらせる方法を熟知している」と語る監督は、『MEG』最新作にいかなる新風を吹かすのか。

『MEG ザ・モンスターズ2』ベン・ウィートリー監督 単独インタビュー

MEG ザ・モンスターズ2
(C) 2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

──『MEG ザ・モンスターズ2』、とても楽しみにしています。予告編を観る限り、前作よりもかなりスケールアップしていて、楽しさが増えているようです。さて、あなたは本作について、どのように提案を受けたのでしょうか?

提案をもらったというより、まず最初に作品概要をもらっていました。エージェントと話していく中で、次回作候補の脚本をいくつか見せてもらっていたんです。そのうちの一作が本作で、「あれ、これって『MEG ザ・モンスター』の続編じゃん!」って(笑)。すぐにやりたい!と思いました。実際に脚本を読んでみたらすごく楽しくてね。1作目の要素もありつつ、きちんと進化していて。

『MEG』には既に1作目の観客やファンがついているから、求められる要素は全て扱いつつ、同時に新しい要素も持ち込みたかった。そういう意味では、今までにない挑戦になりました。

まるで1作目を再解釈するような感じでしたね。もう一度鑑賞して、「きっとこういうところがウケたんだな」と考えて、独自の部分を掘り下げていく。1作目の多様なアイデアと環境に注目していきました。マナ・ワン海洋研究所や海溝、そしてメガロドン。注目すべき素晴らしい要素がたくさんありました。

中でも今作では、特に海底要素に注目しています。『MEG』の1作目では、ほとんど触れられなかったものですよね。それから、マナ・ワンの潜水艦や機材など、テクノロジー要素は継続して描きました。もちろんアクション要素は、可能な限りパワーアップしています。

それとは別に、巨大生物や大規模な戦い、潜水艦……僕はこういうものが大好きなんです。しかし脚本の核になったのは、家族や小規模なグループの人々が、それぞれの得意分野を活かして、ありえない困難に立ち向かっていくということ。大作映画には人間的なストーリーがつきもので、そこには語られるべき素晴らしいストーリーがある。全てはそこにぶら下がっているんですね。人間的なストーリーがなければ、たとえどんなに壮大であっても、空虚に感じられてしまう。だから、今作の脚本はとても良いなと思ったんです。

1作目の少女メイ・インも少し大きくなって続投しています。彼女の叔父、ジウミンはウー・ジンが演じています。他にも、1作目を生き延びたキャラクターたちが再登場して、彼らが物語の核となっていきます。

MEG ザ・モンスターズ2
(C) 2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

──海底要素に注目したということで、今作では海底アクションがより描かれるのですね?

そうです。海底アクションは、僕が特にやりたかったことです。僕はずっと、「人間が新しい場所を発見するが、そこは危険に満ちていた」という物語をやりたかった。小さい頃に観たレイ・ハリーハウゼンの映画とか、ジュール・ヴェルヌの作品のような、エイリアンの世界や海底の世界に行って、登場人物が逆境と戦わなければならないような物語が大好きなんです。怪物と決闘するようなやつですね。『MEG』ではそういう要素が感じられたので、すごく惹かれたんです。

──影響を受けた作品名など、具体的に教えていただけますか?

僕は映画が大好きなので、たくさんの作品を観ています。『MEG 2』には、いろいろな作品の要素が取り入れられていますね。もちろん『ジョーズ』のようなサメ映画は参考にしながら、『アビス』と『エイリアン2』、ジェームズ・キャメロン作品からの影響は大きい。

それから怪獣映画の影響も濃いです。ゴジラに、モスラ……。オリジナルの『ゴジラ』は怖かった。60〜70年代の、もっと娯楽的でサイケデリックで楽しいゴジラ映画からも影響を受けました。こういう映画たちを、行ったり来たり。それから、よりシリアスになった『シン・ゴジラ』もそうです。

こういった影響を活かして、緊張と恐怖から軽いコメディに移り、また戻って、さらに家族の感動要素がやってくるというライド感を意識しました。時速100マイルで突き進むような感覚の映画です。

──ゴジラ映画から影響というのは楽しみですね。日本の観客はゴジラのような怪獣映画には慣れ親しんでいますし、たとえばゴジラが海から音もなく街に接近してくるような、あの緊張感が大好きです。メガロドンでも、そういったアプローチを取り入れましたか?

はい、観客を怖がらせるのは楽しいですよ。人を怖がらせるのが楽しいという、ちょっと病んだ人じゃなきゃダメ。僕はこれまでに、めちゃくちゃ怖いホラー映画も作ってきているから、人を怖がらせる方法というのは熟知している。今回は、怖いものでありつつ、同時に娯楽性を持たせています。ズタズタになるような恐怖じゃなくて、飛び上がるような恐怖にしました。

テスト試写でも好評でしたよ。実はテスト試写では、上映中に赤外線カメラを使って、観客が期待通りの反応を示すかを確認するんです。それで編集で微調整していくんですね。たとえばジャンプスケアのシーンでは、観客がのけぞっていれば上手く出来ているということだし、微動だにしないようだったら、何かが上手く行っていないということで、シーンを見直すんです。そうやって、常に調整しながら仕上げていくんです。

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──1作目よりも恐怖感が増していそうですね。逆に、コメディ要素についてはどうですか?

観客をリラックスさせるために、コメディ要素は必須ですね。ずっと緊張感が張り詰めっぱなしだと、疲れちゃいますから。だからコメディ要素を挟んで、ホッとする瞬間を作ってから次のシークエンスに移る。大袈裟なコメディになりすぎないよう、キャラクターにユーモアのセンスを持たせました。『MEG』では、完全に非現実的なものにならないよう、地に足ついたものになるようにしています。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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