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フランシス・フォード・コッポラ監督最新作『Megalopolis』は新年に議論してほしい映画 ─ ワイナリーの一部売却、1億2,000万ドルを自己負担

フランシス・フォード・コッポラ
Photo by Gerald Geronimo https://www.flickr.com/photos/g155/5980409834/ Remixed by THE RIVER

『ゴッドファーザー』3部作をはじめ、『地獄の黙示録』(1979)など数々の傑作映画を世に送り出してきた巨匠、フランシス・フォード・コッポラ監督が1980年代より温めてきた野心作『Megalopolis(原題)』。この夢の企画を監督は、『素晴らしき哉、人生!』(1946)のような伝統的作品になることを目指しているという。

2021年9月、『Megalopolis』の企画が本格的に動き出し、オスカー・アイザックやフォレスト・ウィテカー、ケイト・ブランシェット、ゼンデイヤ、ミシェル・ファイファー、ジェームズ・カーンらが出演に向けて交渉中と報道。当時の情報によると本作は、破滅的な災害に見舞われたアメリカ・ニューヨークを、ユートピアとして再建しようと奮闘する建築家の姿を描く物語であり、『ベン・ハー』のようなローマ叙事詩になると伝えられていた。

この度、GQのインタビューにてコッポラ監督は、本作に関するさらなる情報を明かしており、「ラブストーリーです」と説明。「ふたりの男性への忠誠心の間で揺れ動くひとりの女性の話です」としながら、「それぞれの男性には哲学的な主義主張があるのです」と巨匠は続けている。

「ひとりは彼女を育てた父親で、ラテン語を膝の上で教えていたような人物ですが、マルクス・アウレリウスのような古典的な社会観にのめり込んでいます。一方でもうひとりは、彼女の恋人であり、父親の敵ですが、“未来へ飛躍しよう、1万年にわたり人類を汚染してきたこの廃物を跳び越えよう。私たち人間のあるべき本当の姿、つまり悟りを開いた、友好的で陽気な種を見つけよう”というようなもっと進歩的な考えを持っています。」

ラブストーリーでありながら、観る者に対して哲学的な問いかけを投げかける一作になりそうだ。「新年には、“炭水化物を断つという話”で盛り上がるのではなく、このひとつの問いを議論してほしいと思います。“私たちがいま生きている社会以外の居場所はないのか?と」。

コッポラ監督は本作の製作について、「3年は少なくともかかる」と伝えているため、2025年以降の完成を目指しているということだろう。壮大な規模が予想される本作。コッポラ監督は、ワイナリーの大部分を2021年に売却しており、その額は1億2,000万ドルにもおよぶという。その売上の何割かを担保にして、本作を作るための融資枠を得たのだという。「これが人類にとって良い結果になるようにしたいのです」。

以前にも監督は、「私はお金を惜しみません」「アメリカン・ゾエトロープ・スタジオを私が所有していた頃、自分の夢を実現するためにすべてを賭けることを恐れていませんでした。自分の性格は全く変わっていません」と本作への並々ならぬ思いを語っていた。コッポラ監督の野心作に期待が高まるばかりだ。

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Source: GQ

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Minami

THE RIVER編集部。「思わず誰かに話して足を運びたくなるような」「映像を見ているかのように読者が想像できるような」を基準に記事を執筆しています。映画のことばかり考えている“映画人間”です。どうぞ、宜しくお願い致します。

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