巨匠コッポラ問題作『メガロポリス』6月20日IMAX上映決定 ─ 賛否両論の一大叙事詩をその目で確かめろ

巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督が人生をかけた一大叙事詩にして、コッポラのキャリア史上最大の問題作『メガロポリス』が、2025年6月20日に日本公開を果たすことが分かった。しかも、IMAXでの上映も決定している。配給はハークと松竹。日本版予告編映像が届いている。
『ゴッドファーザー』シリーズや『地獄の黙示録』など数々の名作を生み出した巨匠・フランシス・フォード・コッポラ監督。彼が幼少期に観たH.G.ウェルズ原作の映画『来るべき世界』より着想を得て、1980年代より脚本を構想。2001年にはニューヨークで台本読み合わせを実施した。そこには、ロバート・デ・ニーロ、ポール・ニューマン、レオナルド・ディカプリオ、ユマ・サーマン、ジェームズ・ガンドルフィーニ、ラッセル・クロウなど名俳優たちが参加した。
撮影準備を進めていたが、同年ニューヨークで9月11日の悲劇が起こり、企画は中断となった。2007年には支援も途絶え、一度は断念の危機に立たされた……。
しかしコッポラは決して諦めなかった。「この作品は私の中でまだ孵化し続けていた。というのも、私は作り方を知らない映画を作るのが好きだからだ。作り方を知らなければ、映画が作り方を教えてくれる。それに耳を傾けると、とてもエキサイティングなんだ」。
そして約300回にも及ぶ脚本の書き直しを経て、ついに2021年、彼は自身のワイナリーの一部を手放し、私財1億2000万ドル(約186億円)を投じて映画製作を再始動。85歳になる今、まさに人生を賭けた渾身の一作を作り上げた。
出演にはアダム・ドライバーやジャンカルロ・エスポジート、ナタリー・エマニュエル、ナタリー・エマニュエル。そのほかにも、オーブリー・プラザ、シャイア・ラブーフ、ジョン・ ヴォイト、ローレンス・フィッシュバーン、タリア・シャイア、ジェイソン・シュワルツマン、ダスティン・ホフマンと一流が集った。
その内容はまさに賛否両論。「映画とその無限の可能性に興奮し続ける映画作家の作品」(The New York Times)、「『メガロポリス』は映画である以上に体験であり、体験として忘れがたい」(Detroit News)と絶賛の声もある中、Rotten Tomatoesでは本記事時点で批評家スコア45%、観客スコア35%。海外の宣伝では、否定的な意見を逆手にとって“映画評論家らによる過去作への当時の辛辣な批判”を用いた自虐の予告編映像を制作したが、AI使用による出鱈目が判明し、謝罪騒動も起こった。
アメリカ封切り直後の初週末興収はわずか400万ドル。現時点で世界興収は1,400万ドルだ。コッポラはゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)で最低監督賞を受賞すると、「感激しております!」「なんたる光栄!」と開き直ったコメントで話題を振りまいた。
これを問題作と呼ばずして何と呼ぶ!映画ファンとして、これを見ずしてコッポラを真に語れない。『メガロポリス』は2025年6月20日、IMAX全国上映。
▼ 『メガロポリス』の記事
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